プロ野球を引退後に多種目で活躍する選手がいます。
今回は転向した競技と転向した選手たちについて解説していきます。
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どんなプロ野球選手もいつか引退する時が訪れます。今回は引退後の異色なセカンドキャリアについて解説していきます。※ グラフはNPB「セカンドキャリア」から集計 ブログ運営の方針当ブ...
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引退後に士業に転職した選手
また、司法書士や公認会計士など難関な国家資格を取得する選手もいます。
在学中ではありますが、関啓扶氏のように司法書士を目指すケースもあります。
① 司法書士に転職した元プロ野球選手
元プロ野球選手で司法書士に転職した選手は現在2人います。
司法書士は登記、供託、訴訟などの法律事務を扱う国家資格です。
例年、合格率はわずか3~4%と超難関の資格となっています。
野球だけしてきた選手にとってはかなりハードルの高い職種となります。
そんなハードルの高い職種に就き、長く活動している元プロ野球選手。
彼らがどんな現役生活を送り、引退後にどうしていたかを振り返ります。
[ 司法書士に転職した選手 ]
所属球団 | 取得年 | |
---|---|---|
桧山泰浩 | 近鉄-サンバンウル (1986-1992) | 1996年取得 1997年 檜山泰浩事務所開業 |
南秀憲 | ヤクルト-近鉄-阪神 (1979-1989) | 2004年取得 2006年みなみ司法書士事務所 開業 |
[ 受験資格 ]
- 年齢、性別、学歴等は問わず
桧山泰浩氏
元プロ野球選手で最初に司法書士になったのが桧山泰浩氏。
近鉄にドラフト1位で入団し、7年間のプロ野球生活を送りました。
ドラフト1位と期待されながらも、1軍での登板はゼロ。
自由契約になったあと、韓国プロ野球に1年間所属して現役を引退しています。
引退後は衣料品関係の仕事を経験し、2度目の司法書士資格試験に29歳で合格。
高校で進学校に在籍したこともあり、試験勉強はさほど苦労しなかったとのこと。
その後、1997年に檜山泰浩事務所を開業されました。
早稲田セミナー福岡校の講師や八幡南ボーイズのコーチも務めています。
- 1軍出場なし
桧山泰浩氏は以下の書籍でも紹介されています。
南秀憲氏
元プロ野球選手で2番目に司法書士になったのが南秀憲氏。
ヤクルト、近鉄、阪神と3球団に所属し、投手として5年間在籍しました。
ドラフトではヤクルト、近鉄、西武の3球団で競合。
2年目に1軍出場を果たすも、プロ初勝利は果たせず引退に至っています。
引退後は不動産業(宅地建物取引士取得)、運送業を経て、専門学校に入学。
3度目の司法書士資格試験で合格し、2006年にみなみ司法書士事務所を開業。
同時に、2016年から母校である市岡高校野球部コーチに就任。
40歳を超えて挑戦した司法書士の道で現在も現役で活躍されています。
- 11試合 0勝 1敗 防御率8.27 投球回16.1
② 公認会計士に転職した元プロ野球選手
元プロ野球選手で公認会計士に転職した選手はわずか1人。
財務・経理、株式公開支援、会計コンサルティングを扱う国家資格です。
合格率は短答式試験が20%前後、論文式試験が35%前後となっています。
ただ、その後に実務補習や終了考査があるなど、試験で終わりではありません。
[ 公認会計士に転職した選手 ]
所属球団 | 取得年 | |
---|---|---|
奥村武博 | 阪神 (1998-2001) | 2013年取得 2006年みなみ司法書士事務所 開業 |
[ 公認会計士登録の流れ ]
- 公認会計士試験(短答式試験、論文式試験)に合格
- 2年以上の実務補習を受講
- 日本公認会計士協会による修了考査に合格
- 内閣総理大臣の確認を受け、公認会計士として登録
奥村武博氏
元プロ野球選手で最初に司法書士になったのが奥村武博氏。
阪神にドラフト6位で入団し、4年間のプロ野球生活を送りました。
188cmの長身で、一時は野村克也監督にも期待されていました。
しかし、プロ生活の大半をケガで過ごし、才能開花に至りませんでした。
引退後は阪神の打撃投手を1年間経験し、プロ野球界から引退。
様々な仕事を経験し、公認会計士を目指すことを決意しました。
9年目の2013年に合格し、実務補習終了後の2017年に公認会計士に登録。
これにより元プロ野球選手として初の公認会計士の誕生となりました。
その後、本業以外でもメディア出演や講演など様々な分野で活躍しています。
2017年に一般社団法人アスリートデュアルキャリア推進機構代表理事へ就任。
同年には初の著書「高卒元プロ野球選手が公認会計士になった!」を出版。
公認会計士になるまでの経緯や試験合格のための秘訣などを話されていました。
さらに2019年には株式会社スポカチを創業し、代表取締役に就任しました。
その他、日本障がい者サッカー連盟監事、全国野球振興会監事もされています。
- 1軍出場なし
奥村武博氏は以下の書籍でも紹介されています。
また、日本プロ野球選手会の各種研修会でも講師を務めています。
今日は #プロ野球選手会 主催の #退団選手研修会
昨年に引き続き研修講師として、お話をさせて頂きました。
引退後に気がついた野球を通じて育つ社会で役立つ能力、引退直後のキャリア選択の失敗、選択肢の増やし方など
、僕の経験が参加選手の今後のご活躍に少しでも役立てば嬉しいです#プロ野球 pic.twitter.com/N4DtYCpJIO— 奥村武博Takehiro Okumura (@m59camel) December 9, 2020
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③ 宅地建物取引士に転職した元プロ野球選手
元プロ野球選手で宅地建物取引士に転職した選手は比較的多くいます。
宅地建物取引業法に基づき定められている不動産取引の国家資格です。
例年、合格率は15%前後と比較的低い数字なっています。
誰でも受けることが可能なため、合格率が低くなっているのかも知れません。
[ 宅地建物取引士に転職した選手 ]
所属球団 | 取得年 | |
---|---|---|
伊原春樹 | 西鉄-太平洋-巨人-クラウン-西武 (1971-1980) | 現役時代 (勤務歴なし) |
南秀憲 | ヤクルト-近鉄-阪神 (1979-1989) | 時期不明 2006年みなみ司法書士事務所 開業 |
北川智規 | オリックス (2001-2004) | 2005年以降 時期不明 ファイナンシャルプランナー2級も取得 |
伊与田一範 (現・長尾一範) |
カープ-ロッテ (1996-2003) | 2010年以降 時期不明 2012年 ミスズエステート開業 |
G.G.佐藤 (佐藤隆彦) |
西武-フォルティチュード-ロッテ (2004-2014) | 2018年取得 土木施工管理技士も取得 測量士補も取得 |
[ 受験資格 ]
- 年齢・学歴・実務経験など制限なし
※宅地建物取引士になるまで / 公益社団法人 日本不動産協会
北川智規氏
最初に紹介するのが北川智規氏。
オリックスに所属し、投手として4年間在籍しました。
1浪後に横浜国立大学に進学し、2年の時に大学日本代表に選出されています。
プロ入り後は初勝利を果たすも開花せず、2004年に自由契約となり引退へ。
引退後はオリックス株式会社に入社し、オリックス不動産に出向。
2020年からはオリックス・ホテルマネジメントに兼務出向しています。
- 25試合 1勝 5敗 防御率5.55 投球回58.1
伊与田一範氏
次に紹介するのが伊与田一範氏。
カープ、ロッテと2球団に所属し、野手として8年間在籍しました。
高校時代45本塁打を放ち、「江藤智2世」として期待されました。
元々、外野手だったのですが、プロ入り後は強肩を活かして捕手に転向。
ただ、2軍でも最高4本塁打と、長打力を発揮できずにカープから退団。
その後はロッテにテスト入団し、2年間在籍するも2003年に引退しました。
引退後は住友不動産販売株式会社に入社し、東海地区で営業成績1位に。
2012年から株式会社ミスズエステートを開業し、不動産業に携わっています。
- 60試合 .192 (14/73) 4本 7打点 出塁率.250
G.G.佐藤氏
紹介した選手で最も目立った活躍をしたのがG.G.佐藤氏。
西武、フォルティチュード、ロッテと3球団に所属しました。
2007~2009年は年間20本塁打以上を記録し、西武の主軸として活躍。
オリンピックの落球もあったものの、2000年代の西武を代表する選手でした。
西武退団後は1年間ほどイタリアリーグに所属し、帰国後はクラブチームに。
2012年オフにロッテの入団テストを受け、日本のプロ野球界に復帰しています。
引退後は父親が経営する株式会社トラバースに入社。
開発営業部マネジャー、千葉営業所所長を経て、取締役に就任しています。
また、有限会社オンリーユーに所属し、タレントとしても活動。
YouTubeチャンネル「トラバースTV」を運営するなど多方面で活躍しています。
- 587試合 .276 (507/1835) 88本 270打点 出塁率.338

オリンピック時のユニフォームとバットは野球殿堂博物館に収蔵されています。
今日、3月10日は、#佐藤の日 でもあります。#野球殿堂博物館 では、G.G.佐藤選手(@ggsato_travers)のサイン入りのバットや #北京五輪 のユニホームも収蔵しています💡#NPB #プロ野球 #野球 #seibulions #chibalotte pic.twitter.com/91viZe56GJ
— 野球殿堂博物館@「近鉄バファローズ 猛牛戦士たちの記憶」開催中! (@BaseballHOF1959) March 10, 2021
④ 測量士に転職した元プロ野球選手
元プロ野球選手で測量士に転職した選手はほとんどいません。
建設・土木工事を行う際に位置や距離や面積を計測する国家資格です。
例年、合格率は10%前後と比較的低い数字なっています。
ただし、以下の条件の人は資格試験は必要なく測量士として登録可能です。
- 文部科学大臣の認定大学で測量科目を修めて卒業し、1年間の実務経験を積む
- 文部科学大臣の認定短大・高専で測量科目を修めて卒業し、3年間の実務経験を積む
- 国土交通大臣の登録を受けた専門学校で1年以上専門科目を履修し、2年間の実務経験を積む
- 測量士補の資格取得後、国土交通大臣の登録を受けた養成施設で専門科目を履修する
[ 測量士に転職した選手 ]
所属球団 | 取得年 | |
---|---|---|
仲田幸司 | 阪神-ロッテ (1984-1997) | 時期不明 |
[ 受験資格 ]
- 年齢、学歴などの条件はなし
※測量士・測量士補の資格のページ / 公益社団法人 日本測量協会
仲田幸司氏
確認できた中で唯一測量士に転職しているのが仲田幸司氏。
阪神、ロッテと2球団に所属し、阪神時代は先発投手として活躍しました。
父親がアメリカ人であるため「マイク仲田」とも呼ばれていました。
制球難に苦しむも、1992年には14勝をあげて最多奪三振のタイトルも獲得。
しかし、翌年から再び目立った活躍ができず、1996年にFAでロッテに移籍。
移籍後も思ったような活躍をすることなく、2年目の2017年に自由契約に。
引退後は野球解説者やタレント活動で活躍していました。
現在は測量士の資格をとり、プロ野球とは別の世界で活躍しています。
また、社会人野球の京都ジャスティスにてコーチも担当されています。
2019年になりますが、Twitterに現役当時の面影のある写真がありました。
昨日、山科経済同友会主催の講演会に、元阪神タイガース投手の仲田幸司さんがスピーカーとして来られ、現役時代のエピソードを中心に、非常に面白く、ユーモアたっぷりにお話を聞かせて頂きました。→続 pic.twitter.com/383ivnbPWC
— 前原誠司 (@Maehara2016) August 30, 2019
- 587試合 .276 (507/1835) 88本 270打点 出塁率.338
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⑤ 電気工事士(第二種)の資格を持つ現役選手
現役選手の中にもすでに士業の資格を持つ選手もいます。
電気工事士(二種)ですが、2020年と2021年に1人ずつプロ入りしました。
例年、合格率は筆記が60%前後、実技が70%前後となっています。
年齢制限がないため、工業高校の生徒を始め高校生でも取得可能です。
第一種電気工事士は実務経験が必要
第一種電気工事士に関しては5年間の実務経験が必要となります。
そのため、第二種のように高校生が取得することは事実上困難です。
[電気工事士(第二種)の資格を持つ現役選手 ]
所属球団 | 取得年 | |
---|---|---|
平間隼人 | 巨人 (2020-) | 2018年 |
丸山翔大 | ヤクルト (2021-) | 高校在籍時 |
[ 受験資格 ]
- 年齢などの受験資格制限なし
※第二種電気工事士の資格取得フロー / 一般社団法人 電気技術者試験センター
平間隼人氏
平間隼人選手は2019年に巨人の育成ドラフト1位で入団。
高校卒業後に2015~2017年に徳島インディゴソックスに在籍しました。
2017年シーズンで現役を引退し、新田電設に入社して電気工事士に。
しかし、2018年8月に徳島インディゴソックスに入団して現役に復帰。
2019年に最多盗塁を獲得し、その年のドラフトでプロ入りを果たしました。
現在まで1軍出場はありませんが、3軍で打率3割を打つなど期待されてます。
- 1軍出場なし

丸山翔大氏
丸山翔大投手は2020年にヤクルトの育成ドラフト4位で入団。
高校卒業後は西日本工業大学に進学し、プロ入りを果たしています。
異色なのは電気工事士を取得したのが高校時代という所。
もともと工業関係に興味があり、大学も工業大学を選んだようです。
一度は自動車メーカーの内定をもらったもののプロ入りを決意。
192cmから投げ下ろす角度あるストレートを武器に活躍が期待されます。
- 1軍出場なし
今回のまとめ
今回はプロ野球引退後に士業に転職した選手について話を進めてきました。
司法書士、公認会計士、宅地建物取引士、測量士など様々な資格をありました。
引退後に就職するのは難しくないですが、長続きしないのも現実。
そうした中、難関な国家資格を取得し、手に職を得て転職する選手もいます。
その多くの選手がその道一本で仕事し、開業するなど活躍しています。
士業となれば仕事が完全になくなることは無く、堅実な選択と言えるでしょう。
これからは士業に転職する元プロ野球選手も増えるかも知れません。
彼らの活躍する背中を追って士業で活躍する選手がでてくると良いですね。
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