【 援護率と勝率は関係するのか? 】2019年パ・リーグ最高勝率のタイトル獲得の山岡泰輔投手を検討

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16年目になる医療系国家資格取得のトレーナーです
現在は「医学」に加えて「法律」も勉強しています。
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先発投手の中にはなぜか負けがつかない投手が存在します。
今回は援護率や失点などから負けのつかない理由について話を進めていきます。

 

援護率の際立った山口俊投手と高橋礼投手

 

規定投球回数到達者の援護率と防御率をグラフ化しました。
山口俊投手と高橋礼投手の5点台を超える援護率が際立っています
山口投手に関しては6点台を超え、いかに打線の援護があったかわかります。

逆に山本由伸投手の援護率は2.5点を下回り、全投手の中で極めて低値。
2019年の先発投手の中で山本由伸投手は”最も不運な投手”だったと言えます。

図1 規定投球回数到達者の援護率

援護率とは

  • 1試合(9回)あたり打線が何点取ってくれるかを率で表したもの
  • 数字が高い方ほど投手が投げた時に多く点を取ってくれている

 

援護率が高いと勝利数も多いのか?

 

まずは10勝をあげた投手と10勝以下の投手を分けてみます。

◎ 10勝以上の投手

  • 山口俊、有原航平、千賀滉大、今永昇太、山岡泰輔
  • 高橋礼、ジョンソン、柳裕也、大瀬良大地、西勇輝

◎ 10勝以下の投手

  • 大野雄大、青柳晃洋、山本由伸、美馬学、小川泰弘

次に援護率と勝利数の関係性をプロットしました。
10勝以上をあげた10投手のうち7投手が援護率が4.00台以上
二桁勝利をあげるには援護率が4.00台前後は必要でした。

ただ、11勝投手のジョンソン投手と大瀬良大地投手は援護率が低いです。
打線の援護が多くない中でも、しっかりと勝利数をあげたことになります。

逆に山本由伸投手は援護率2.50以下と打線の援護に全く恵まれていません。
これでは投手が抑えてても、勝利数を多くあげることは難しくなります

図2 援護率と勝利数の関係

 

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援護率が高いと敗戦数も少ないのか?

 

援護率が突出して高い山口俊投手と高橋礼投手は敗戦数も少ないです。
先ほどのグラフも含め、イメージ通り「勝てて負けない投手」と言えます。

ただ、そこそこ援護があるにも関わらず敗戦数が多い投手もいます。
小川投手は4点以上援護があるにも関わらず、12敗も記録しています。

反面、山本由伸投手のように援護率が低くても負けない投手もいました。
ただ、他の投手と比べて登板試合数が20試合と少ない影響もある。
とはいえ、ここまで援護がない中で負けないということは評価するべき

図2 援護率と敗戦数の関係

 

 援護率と防御率の関係性

 

10勝以上の投手をピックアップして援護率と防御率をグラフ化しました。

図3 援護率と防御率の関係

防御率が3.50以上を”打たれている投手”とすると以下の3投手となります。

  • 山岡泰輔   13勝 4敗 3.71
  • 柳裕也    11勝 7敗 3.53
  • 大瀬良大地  11勝 8敗 3.53

こうしてみると、山岡投手は“防御率が悪い割には勝ってて負けていない”
防御率では15人の規定投球回数到達者のうちワースト3に位置しています。
パ・リーグの投手だけで見ても、6人中のワースト2に位置していました。
極端に援護率が高い訳ではないですが、”勝てて負けない”理由はなんでしょう。

 

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2019年は投球内容が大幅に改善したのか?

 

防御率を見ると、プロ入り後3年続けて3点台後半と良くないです。
つまり、基本的には”平均的に4点近く点を取られる先発投手”です。
ただ、通常であれば2019年の勝敗数であれぱ2点台くらいが普通。
しかし、成績があがりましたが防御率自体はほとんど変わりありません

  • 2017  3.74  8勝11敗 勝率 .421
  • 2018  3.95  7勝12敗 勝率 .368
  • 2019  3.71  13勝4敗 勝率 .765

色々と調べましたが、2019年に極端に向上した投球データも無さそう。
確かに四球率が減ったぶん、被出塁率は減ってきてはいました。
また、2018年は打たれていたストレートも2019年は改善しています。

ただ、それがここまで成績が大きく改善するほど強い要素とも思えず。
そうであれば、少なくとも防御率は3点台前半になったと思います。
負けない理由は「失点減少によるもの」ではない可能性は高いです

過去3年間の援護率を見ていくと年々その援護率が上がっています
2019年には防御率と援護率が逆転するまで数字があがってきました。
当然ながら、ここまで援護率が向上してくると負けにくくはなってきます。
「投球内容」よりも「援護率」の変化が好成績に反映した可能性が高いです。

  • 2017 援護率 3.13 < 防御率 3.74
  • 2018 援護率 3.95 = 防御率 3.95
  • 2019 援護率 4.34 > 防御率 3.71

 

4失点以上した試合の勝敗状況

 

続いて4失点以上した試合で敗戦が付かなかった率を算出しました。
2019年で最も敗戦数の少ない山口投手と山岡投手でデータを見ていきます。
敗戦が付かない率は山口投手は.833山岡投手は.769とかなり高いです。
つまり、両投手とも「失点が多い試合でも負けにくい投手」と言えます。

  • 山口俊   .833 5/6
  • 山岡泰輔  .769 10/13

ただし、山口投手の場合はトータルの防御率が2.91と打たれていません。
実際、4失点以上を記録した試合は山岡投手の半分以下しかありません。
同じ「高い確率で負けない投手」ではあっても、その中身は異なってきます。

  • 山口俊投手   4失点以上の試合は少ないが、取られても負けにくい
  • 山岡泰輔投手  4失点以上の試合が多く、取られても負けにくい

また、4点以上とられた試合で山岡投手は5勝あげています
同条件では山口投手が3勝、有原投手が2勝、他が0~1勝。
試合数の関係もありますが、4失点以上しても圧倒的に勝利に恵まれました。

  • 山岡泰輔 5勝
  • 山口俊  3勝
  • 有原航平 2勝
  • その他  0~1勝

山岡投手は勝率.765で最高勝率のタイトルも獲得しています。
タイトルを手に出来た背景に打線の援護が関与した可能性もあります。
圧倒的な投球というより、多くの面で運が良かったと考えられます。

◎ 2019年 勝率

  • 山岡泰輔 .765 ( 13勝4敗 3.71 )
  • 高橋礼  .667 ( 12勝6敗 3.34 )
  • 有原航平 .652 ( 15勝8敗 2.46 )
  • 千賀滉大 .619 ( 13勝8敗 2.79 )

最高勝率とは

  • 13勝以上をあげた投手で勝率が最も高い投手
  • 2013年からタイトルとして表彰
  • 正式名称は「勝率第一位投手賞」

 

過去の最高勝率受賞者の「防御率」

 

過去の最高勝率のタイトルを受賞した選手を振り返ります。
全体の7割程度の投手が1~2点台の防御率を記録しています。

基本的に防御率が3.50を上回る投手はほとんどいません。
唯一、2018年のセ・リーグで大瀬良投手が記録したのみ。
山岡投手の防御率3.71で最高勝率を獲得したのが異例なのがわかります。
ちなみに、菅野智之投手の名前が1度も入ってないのは意外でした。

◎ セ・リーグの最高勝率受賞投手

2013 小川泰弘   .800 16勝4敗 2.93
2014 山井大介   .722 13勝5敗 3.21
2015 マイコラス  .813 13勝3敗 1.92
2016 野村祐輔   .842 16勝3敗 2.71
2017 薮田和樹   .833 15勝3敗 2.58
2018 大瀬良大地  .682 15勝7敗 3.53

◎ パ・リーグの最高勝率受賞投手

2013 田中将大   1.000 24勝0敗 1.27
2014 岸孝之    .765 13勝4敗 2.51
2015 大谷翔平   .750 15勝5敗 2.24
2016 和田毅    .750 15勝5敗 3.04
2017 千賀滉大   .765 13勝4敗 2.64
2018 ボルシンガー .867 13勝2敗 3.06

 

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最多勝を獲得した多和田真三郎投手

 

最高勝率ではないが、高い援護率で最多勝を受賞した投手もいます。
2018年のパ・リーグ最多勝の多和田真三郎投手が該当したようです。

◎ 2018年シーズン成績

  • 26試合 16勝5敗 3.81 勝率 .761
  • 援護率 6.95 (12球団トップ)

山岡投手と同様に高い勝率を残していますが防御率は3.81と良くないです。
クオリティースタート率もパ・リーグ規定到達者でワーストの53.85%。
本塁打196本の強力打線をバックに勝率に恵まれた感は否めません

◎ 2018年クオリティースタート率

  1. 岸孝之    69.57%
  2. 菊池雄星   69.57%
  3. 涌井秀章   68.18%
  4. 上沢直之   68.00%
  5. マルティネス 68.00%
  6. 西勇輝    60.00%
  7. 則本昂大   57.69%
  8. 山岡泰輔   56.52%
  9. 多和田真三郎 53.85%

ただ、翌年の2019年はわずか1勝しか出来ず不本意なシーズンに。
2018年よりも長打や強い打球を打たれることが多くなり失点が増加しました。

◎ 2019年シーズン成績

  • 12試合 1勝6敗 5.83 勝率 .142
  • 援護率 4.17

クオリティースタートとは

  • 先発投手が6イニングを投げ、自責点3点以内で抑えること
  • 以前は先発投手とした重視されたが近年は見直されつつある

 

過去の「援護率トップ」から検討

 

過去の援護率トップを見ても多和田投手と似たような傾向の投手がいます。
2013年の野村祐輔投手、2014年の石川雅規投手、2017年の大瀬良大地投手の3人。
※ 右端が防御率

  • 2011 吉見一起   3.81 18勝3敗 1.65
  • 2012 ホールトン  4.87 12勝8敗 2.45
  • 2013 野村祐輔   5.56 12勝8敗 3.74
  • 2014 石川雅規   5.83 12勝6敗 4.75
  • 2015 石川雅規   4.68 13勝9敗 3.31
  • 2016 野村祐輔   5.74 16勝3敗 2.71
  • 2017 大瀬良大地  5.75 10勝2敗 3.65
  • 2018 ジョンソン  5.44 11勝5敗 3.11

パ・リーグの援護率トップも同様に似たような傾向の投手がいます。
2014年の中田賢一投手、2015年の十亀剣投手、2018年の多和田真三郎投手の3人。

  • 2011 ホールトン  4.82 19勝6敗 2.19
  • 2012 牧田和久   4.01 13勝9敗 2.43
  • 2013 田中将大   6.08 24勝0敗 1.27
  • 2014 中田賢一   5.40 11勝7敗 4.34
  • 2015 十亀剣    5.19 11勝7敗 3.55
  • 2016 和田毅    4.87 15勝5敗 3.04
  • 2017 金子千尋   5.06 12勝8敗 3.47
  • 2018 多和田真三郎 6.95 16勝5敗 3.81

以上のように、防御率が悪くても高い援護率で高い勝率の投手もいます。
タイトル獲得や勝敗数を見ただけで良い投球内容かどうかは判断出来ません
同時に、野手の守備や球場の状況や天候などによっても影響されやすい。
勝敗数には少なからず”運も左右”しており、そういった視点も必要です。

 

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ここまでわかったこと

 

ここまでわかったことをまとめます。

  • 2019年の援護率が高いのは山口俊投手と高橋礼投手
  • 反対に援護率が低いのは山本由伸投手
  • 援護率が高いと勝ちやすく負けにくい傾向
  • 防御率が悪くても勝率の良い投手がいる
  • 山岡泰輔投手の好成績に援護率が関与した可能性
  • 山岡投手と山口投手は4点以上取られても負けにくい
  • 過去の最高勝率を見ても山岡投手の防御率は異例
  • 2018年の多和田真三郎投手も援護に助けられた
  • 過去にも援護率トップで防御率の悪い投手はいた

 

今回のまとめ

 

今回は援護率と勝率の関係を中心に話を進めてきました。
援護率に恵まれると当然ながら先発投手にとっては有利です。
多く失点したとしても、負けがつきにくく、勝ちを拾えます。

投手にとって負けがつかないというのは精神的にも大きいです。
また勝利がひとつでもつくことでモチベーションもあがるでしょう。
それだけ打線の援護は投手に対して大きく影響する因子と考えられます。

野球は「投手が中心」という言葉もよく耳にしてきました。
しかし、近年のプロ野球を見てわかる通り打てるチームが強いです。
2000年代までのように「最少失点で守り勝つ」は通用しなくなりました

勝率は打線の援護によって大きく左右されます。
そう考えると安易に勝利数や勝率だけで投球内容を判断出来ません。
野手との関係、球場との関係、様々な因子が関わって結果に繋がります。

そういった視点で見ていくと、案外過小評価されている投手もいます
本来評価されるべき投手が影に隠れていることも少なくありません。
当然ながら、その反対に過大評価していることもあるのも事実です。

打線の援護は投手にとって大きな支えとなります。
タイトル獲得やわかりやすい数字以外に目を向けると面白いです。

 

 

 

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