どんなプロ野球選手もいつか引退する時が訪れます。
今回は引退後の異色なセカンドキャリアについて解説していきます。
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当記事は以下の記事の詳細ページとなります。
【 プロ野球選手のセカンドキャリア 】退団後の進路希望と進路調査からみえるもの
どんなプロ野球選手もいつか引退する時が訪れます。今回は引退後の異色なセカンドキャリアについて解説していきます。※ グラフはNPB「セカンドキャリア」から集計 ブログ運営の方針当ブ...
引退後に「進学する」という選択
近年に変化が出てきてきているのが「進学」という選択肢。
特に2018年からは國學院大學と選手会が提携し、進学サポートを行っています。
そうした影響もあり、若干名ですが進学する引退選手が継続的に出てきました。
また、将来安定した職業につきたいと考える選手が多くなってきた影響もあります。
[ 2015~2020年オフに進学した選手 ]
選手名 | 所属球団 | 進路 | |
---|---|---|---|
2015年オフ | 田上健一 (27) | 阪神 | 星槎大学共生科学部通信制のに進学 (※) オリックススコアラー (2016-2017) データスタジアム (2018-2019) 株式会社ケイコンテンツ (2020-) |
鈴木将光 (28) | カープ | 鍼灸師取得のため専門学校進学 (2016-2018) (※) MSH医療専門学校野球部コーチ (2018-2019) (※) 伊関鍼灸整骨センター (2019-2020) すずき鍼灸整骨院 (2020-) |
|
2016年オフ | 伊藤義弘 (34) | ロッテ | 日本体育大学大学院に進学 (※) 東福岡高校に保健体育教員として勤務 (2020-) (※) |
2017年オフ | 今井啓介 (30) | カープ | 鍼灸師取得のため専門学校進学 (同時にエレメンツストレッチに勤務) |
松浦耕大 (24) | カープ | 柔道整復師取得のためMSH医療専門学校に復学 | |
奥波鏡 (22) | オリックス | 関西メディカルスポーツ学院に進学 (2018年6月に退学) |
|
2018年オフ | 幸山一大 (22) | ソフトバンク | 國學院大學 (人間開発学部健康体育学科)に進学 |
2019年オフ | 岡林飛翔 (20) | カープ | 國學院大學 (人間開発学部健康体育学科)に進学 |
島孝明 (21) | ロッテ | 國學院大學 (人間開発学部健康体育学科)に進学 | |
2020年オフ | 藤田航生 (22) | 西武 | 理学療法士取得のため養成校に進学 (※) |
阿知羅拓馬 (27) | 中日 | 柔道整復師取得のため養成校に進学 (※) |
教員+野球部指導者となった選手については以下の記事に詳しく記載しています。
【 プロ野球退団後に4年制大学へ 】進学して「教員+野球部指導者」を目指す選手たち
プロ野球引退後に進学して教員と野球部指導者となる選手がいます。今回はそんな彼らのその後の活躍と取り巻く環境について解説していきます。 ブログ運営の方針当ブログは『プロ野球の著作権...
① 鈴木将光氏は2020年に「すずき鍼灸整骨院」を開業
鍼灸師取得のため進学した鈴木将光選手は無事に鍼灸師の資格を取得しています。
2020年には元女子プロ野球選手で柔道整復師の奥さんと鍼灸整骨院を開業しています。
外部記事
同時に広島県福山市にあるB-PARKにて野球スクールコーチとして活動しています。

鈴木将光 (すずきまさみつ)
遊学館高校から2008年高校生ドラフト1位で広島東洋カープに入団。
期待されるも入団後はケガも多く、一軍での出場機会に恵まれずに引退。
WBC強化試合で内海哲也投手から本塁打を打った姿は今も記憶に残る。
現在は国家試験に合格して鍼灸師として活躍中。
② 元プロ野球選手初の「医師」を目指す寺田光輝氏
寺田光輝 (こうき) 投手のように引退後に「医師」を目指す選手もいます。
父親は医師として三重県伊勢市で開業をされている「寺田クリニック」。
選手名 | 年齢 (引退時) | 進路 | |
---|---|---|---|
医師 | 寺田光輝 | 27 | 医師免許取得のため大学編入受験 |
独立リーグから2017年にドラフト6位でDeNAベイスターズに入団。
1年目の8月に腰部ヘルニアの手術をしたものの状態は良くなく2年目で戦力外に。
まずは医学部に入る必要があるため、現在は受験勉強に励んでいるようです。
通っていた塾のサポートも受けながら2021年の大学合格を目指しています。

寺田光輝 (てらだみつき)
伊勢高校 – 三重大学(1年次中退) – 筑波大学 – 石川ミリオンスターズを経由。
2017年ドラフト会議にて横浜DeNAベイスターズから6位指名を受ける。
サイドスローからの強気な投球が武器として1年目からの活躍を期待される。
2019年にアンダースロー転向も、1軍登板は無く10月に戦力外通告を受ける。
まだまだ先の話になりますが、もし医師となれば元プロ野球選手初の偉業。
医師となった事例がでてくると、後に続く選手もでてくるかも知れませんね。
MLBでは過去にゲイル・ホプキンス氏やマーク・ハミルトン氏に医師に転職しています。
ゲイル・ホプキンス氏はカープ在籍時代から広島大学医学部で勉強していたようですね。
[ マーク・ハミルトン氏 ]

③ 5年ぶり現役復帰を目指した関啓扶氏は「歯科技工士」に
2013年に中日を戦力外となり、2014年から球団マネージャーとなった関啓扶氏。
現役引退から5年後の2018年に中日を退団し、NPB復帰を目指してトライアウトを受けています。
しかしNPBからの声はかからず、歯科技工士になるため東海歯科医療専門学校に進学。
同校には「プロアスリート・セカンドキャリアサポート制度」があり利用者第1号となっています。
元中日ドラゴンズの選手で、歯科技工士を目指して勉強中の関啓扶さんの様子が三重テレビ放送さんの番組で紹介されますよ。
放送は5月22日(水)20:00〜21:25です。お見逃しなく!https://t.co/plz90mg321#セムイ学園 #東海歯科医療専門学校 #歯科技工士 pic.twitter.com/2iUikzTx8I— 東海歯科医療専門学校 (@tokai_dental) May 8, 2019
2年間の専門学校での生活を送り、無事に歯科技工士の資格を取得しました。
2021年からは岐阜県にあるヤーマン歯科・矯正歯科クリニックで働くそうです。
歯科領域に転職したのは元プロ野球選手初。
今後のNPB退団後の新たな進路を開拓できたのではないでしょうか。
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進学後に「球団トレーナー」に転身した選手たち
過去10年には見当たりませんが進学後に「球団のトレーナー」になった選手も。
理学療法士、柔道整復師、鍼灸師などが主ですが、それぞれが現場で活躍しています。
これまで把握している範囲の元選手で球団トレーナーになったのは6人。
ちなみに江口孝義氏と吉良俊則氏を除く4人がカープからドラフト指名されています。
[ 引退後に球団トレーナーに転向した選手 ]
ドラフト | 資格 | トレーナーとしての所属 | |
---|---|---|---|
栗田聡 | カープ1位 (1986) |
理学療法士 | 近鉄 (2001-2005) ヤクルト (2005-2012) 林昌勇投手専属トレーナー (2013) 東京明日佳病院 栗田塾 (※) 豊田自動織機ソフトボール部 ヘッドトレーナー (※) 鍼灸整骨A.T.NAGASHIMA スーパーバイザー (※) |
望月一 (死去) | カープ4位 (1986) |
理学療法士 | カープ (2003-2007) ロッテ (2008-2018) はとり接骨院 (2019-2020) (※) |
江口孝義 | ダイエー3位 (1990) |
理学療法士・鍼灸師 | オリックス (2006-2013) ソフトバンク (2014-2020) (※) |
矢野修平 | カープ3位 (1998) |
柔道整復師 | ソフトバンク (2009-2015) |
吉良俊則 | オリックス2位 (2003) |
柔道整復師 | オリックス (2013-2015) Kira接骨院 開業 (※) |
苫米地鉄人 | カープ6位 (1999) |
鍼灸師 | カープ (2011~) |
① 栗田聡氏と望月一氏はカープドラフト同期組
栗田聡氏と望月一氏は1986年にカープに指名されたドラフト同期組。
同じ球団から同じ年に指名された選手が2人もプロ野球のトレーナーになったのはすごいですね。
ちなみに、栗田聡氏はプロ野球退団後に以下の書籍も出版しています。
残念ですが、望月一氏(52)は2020年7月6日に虚血性心疾患のためお亡くなりになりました。
② 2021年は元プロ野球選手は苫米地鉄人氏のみ
江口孝義氏が2020年でソフトバンクを退団しました。
そのため元プロ野球選手のトレーナーは2021年は苫米地鉄人氏のみとなる予定です。
もちろん、新たな人が雇用されていたり、再雇用もあったりします。
現在のところは聞いてはいませんが、何か情報があれば追記しておきます。
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医療業界に進んだ元プロ野球選手たち
引退後に医療業界に進んだ選手は以下の通りです。
もちろん公開されていない選手もおり、すべての選手ではないのでご了承ください。
① 理学療法士の道に進んだ元NPB選手
引退後に理学療法士となったのは5人。
そのうち3名と半分以上が「球団トレーナー」となっています。
[ 理学療法士となった元NPB選手 ]
ドラフト | 資格 | 球団トレーナー・医療機関 | |
---|---|---|---|
栗田聡 | カープ | 理学療法士 | 近鉄 (2001-2005) ヤクルト (2005-2012) 林昌勇投手専属トレーナー (2013) 東京明日佳病院 栗田塾 (※) 豊田自動織機ソフトボール部 ヘッドトレーナー (※) 鍼灸整骨A.T.NAGASHIMA スーパーバイザー (※) |
望月一 (死去) | カープ | 理学療法士 | カープ (2003-2007) ロッテ (2008-2018) はとり接骨院 (2019-2020) (※) |
江口孝義 | ダイエー | 理学療法士・鍼灸師 | オリックス (2006-2013) ソフトバンク (2014-2020) (※) |
池上誠一 | 近鉄 | 理学療法士 | みどりの風クリニック (2007-) (※・※) |
春日伸介 | 西武 | 理学療法士 | 田中病院 (2007-) (※・※) |
② 鍼灸師の道に進んだ元NPB選手
引退後に鍼灸師となったのは9人。
2021年2月の国家試験の結果次第で、新たに1名の選手が追加される予定です。
[ 鍼灸師となった元NPB選手 ]
所属球団 | 資格 | 球団トレーナー・医療機関 | |
---|---|---|---|
橋本大祐 | 阪神 | 鍼灸師 | だいすけ鍼灸整骨院 開業 |
鈴木平 | オリックス | 鍼灸師 | タイラ治療院 開業 |
江口孝義 | ダイエー | 理学療法士・鍼灸師 | オリックス (2006-2013) ソフトバンク (2014-2020) (※) |
川畑勇一 | ヤクルト | 鍼灸師 | かわばた鍼灸整骨院 開業 |
芦沢明 | 巨人 | 鍼灸師・柔道整復師 | HarisParis鍼灸整骨院 開業 |
田中総司 | ダイエー | 鍼灸師・柔道整復師 | たなか鍼灸整骨院 |
馬原孝浩 | ソフトバンク・オリックス | 鍼灸師・柔道整復師 | MAHARAトレーナーアカデミー (2019-) 火の国サラマンダーズ ピッチングGM (2021-) |
苫米地鉄人 | カープ | 鍼灸師 | カープ (2011~) |
鈴木将光 | カープ | 鍼灸師 | 伊関鍼灸整骨センター (2019-2020) すずき鍼灸整骨院 開業 (2020-) |
③ 柔道整復師の道に進んだ元NPB選手
引退後に柔道整復師となったのは13人。
総数としては最も多い資格であり、ほとんどの選手が開業しています。
[ 柔道整復師となった元NPB選手 ]
所属球団 | 資格 | 球団トレーナー・医療機関 | |
---|---|---|---|
田村勤 | 阪神 | 柔道整復師 | 田村整骨院 開業 |
川島堅 | カープ | 柔道整復師 | 一橋整骨院 開業 |
三野勝大 | 巨人 | 柔道整復師 | アルファ医療福祉専門学校 講師 |
西澤洋介 | 横浜 | 柔道整復師 | にしざわ整骨院 開業 |
川口正 | 横浜 | 柔道整復師 | しょう整骨院 開業 |
渡邉孝男 | 西武・日本ハム | 柔道整復師 | リハプラスわたなべ整骨院 開業 |
石橋尚登 | カープ | 柔道整復師 | 長崎国際大学野球部 ヘッドコーチ |
南牟礼豊藏 | オリックス・阪神 | 柔道整復師 | みなみむれ整骨院 開業 |
萩原誠 | 阪神 | 柔道整復師 | 整体院誠 開業 |
三東洋 | 阪神 | 柔道整復師 | 日常鍼灸整骨院 開業 |
清原大貴 | 阪神 | 柔道整復師 | 興國高等学校スーパーバイザー |
矢野修平 | カープ | 柔道整復師 | ソフトバンク (2009-2015) |
吉良俊則 | オリックス | 柔道整復師 | オリックス (2013-2015) Kira接骨院 開業 |
④ 整体師の道に進んだ元NPB選手
引退後に整体師となったのは5人。
ただ、国家資格ではないため実際の数はもっといると思います。
[ 整体師となった元NPB選手 ]
所属球団 | 資格 | 球団トレーナー・医療機関 | |
---|---|---|---|
辻恭彦 | 阪神・大洋 | 不明 | |
飯田宏行 | カープ | 不明 | いいだ健康センター 開業 |
山崎健 | カープ・ロッテ | 不明 | 健’s Treayment 開業 |
伊藤博康 | ダイエー | 不明 | 東日大昌平高野球部 監督 |
上原晃 | 中日・ヤクルト | 不明 | 守山カトウ整体 店長 |
⑤ 介護福祉士の道に進んだ元NPB選手
引退後に介護福祉士となったのは2人。
川添将大氏に関しては介護福祉士を取得しているか不明です。
[ 理学療法士となった元NPB選手 ]
所属球団 | 資格 | 球団トレーナー・医療機関 | |
---|---|---|---|
中澤秀一 | 巨人 | 介護福祉士 | 東京基督大学 教授 |
蒲谷和茂 | 西武 | 介護福祉士 | プラージュ・シエル湘南長沢 |
川添将大 | 中日 | 施設長 | ナーシング寿々 施設長 |
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今回のまとめ
今回はプロ野球退団後に医療業界にに進んだ選手について話を進めてきました。
現役時代に治療などで選手自身が関わることも多いため選択する選手が多いです。
特に理学療法士・鍼灸師・柔道整復師は野球との関りも強い資格。
いずれも3年以上就学が必要で、国家資格に合格しなければなりません。
野球だけをやってきた選手にとっては学業は苦手な選手もいるのも事実でしょう。
ただ、こうして努力してそれぞれの場所で活躍している姿は選手の励みにもなります。
引退後の選択肢として今後も医療業界は増えていくと思います。
簡単なことではありませんが、それぞれの選手の引退後の活躍を期待しています。
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