近年、野球中継や野球番組のネット投稿を多く目にするようになりました。
知らないことも多いかと思うので法律に沿った形で違法アップロードについて話を進めます。
ブログ運営の方針
当ブログは『プロ野球の著作権・肖像権』に準じた運営を心掛けています。
また、使用している写真は著作者・肖像者に連絡をとり許可を頂いています。
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なので「摘発(逮捕)される可能性もある」というお話です。
増加する「違法アップロード」への警告
近年はSNSやYouTubeの普及により違法にアップロードされた映像が溢れています。
それに伴い、そういった違法行為に対しても抵抗が少ない世の中に変わりつつあります。
多くの人がやっていると麻痺しがちですか、違法であることは変わりありません。
ついやってしまったことでも法的リスクを背負っていることは自覚する必要があります。
① 著作権法に詳しい弁護士の見解
以下に著作権法に詳しい弁護士の見解をご紹介します。
制作者の許可がある場合を除き、映像をネット上に公開する行為は著作権侵害となります。
[ 雪丸真吾弁護士の見解 ]
もし著作権者の許諾なくネットに投稿すると、著作権のひとつである『公衆送信権』(著作権法23条1項)を侵害することになります。また、テレビ局の『送信可能化権』(著作物をネットで公開する権利)の侵害にもなりますね。
[ みずほ中央法律事務所・みずほ中央事務所の見解 ]
中継番組自体は,著作物ですから,そのまま録画して公表すると著作権侵害となります。
[ アークレスト法律事務所の見解 ]
映画やテレビ番組、音楽を録画・録音して、YouTube(ユーチューブ)などの動画投稿サイトに投稿する行為も著作権侵害となります。
① テレビ局や配信事業者が違法アップロードを警告
各テレビ局が運営するホームぺージでもネット上への違法な投稿を警告しています。
あまり見ることがないかも知れませんが、各テレビ局ともにしっかり記載があります。
[ 放送事業者からの注意喚起 ]


② 映像の「スクショ・撮影」の投稿も著作権侵害に
よく「動画はダメだけど、スクショは問題ない」といった投稿を目にします。
しかし、配信会社の著作物であるのは変わらず、画像であっても違法に変わりありません。
また、弁護士は以下のように静止画であっても著作権侵害となると述べています。
「スクショ・写メ・キャプチャ」と様々な呼び方がありますが著作権侵害は同じです。
[ みずほ中央法律事務所・みずほ中央事務所の見解 ]
放送されている動画が映っているテレビ・スクリーンなどを撮影して投稿することは,著作権侵害になります。
[ 甲本晃啓弁護士の見解 ]
著作権侵害(複製権侵害ないし公衆送信権侵害)にあたる可能性があります。


ただ、どの会社も規約で禁止と明言しているため著作者侵害になります。
③ パ・リーグTV・虎テレ・RCCと続々と注意喚起
2020年9月30日にパ・リーグTVが公式サイトで違法アップロードを警告しました。
パ・リーグTVは以前からTwitterなどで違法アップロードに積極的に対応されてきました。
しかし、凍結されてもアカウントを作り直すなど違法行為は終わらないのも現状。
そういった現状を踏まえ、意思表示として損害賠償や告訴の可能性も示唆しています。
パ・リーグTVの注意喚起については以下の記事で詳しく記載しています。
【 パ・リーグTVが注意喚起 】試合映像の違法アップロードについて運営会社に聞きました
9月30日にパ・リーグTVから違法アップロードについて注意喚起が発表されました。今回はその注意喚起を振り返ると同時に違法アップロードの危険性ついて触れていきます。 ブログ運営の方...
他にも、RCC(中国放送)や虎テレなども注意喚起しています。
【 RCCが注意喚起 】カープ映像の違法アップロード対策と提供体制について考えてみた
2020年の2月にRCCのTwitterで違法アップロードについて言及されました。今回はそれに関してわかった課題と今後の対応について考えたことについて話を進めます。 ブログ運営の...
【 虎テレの徹底した対策 】違法アップロードに対する強い姿勢と今後の対策を考える
虎テレでは以前から積極的に違法アップロードに対して注意喚起しています。今回は虎テレの厳格な姿勢から違法アップロードに対する今後の対応策を検討していきます。 ブログ運営の方針当ブロ...
各団体が著作権侵害の「情報提供窓口」を設置
違法アップロードに対する情報提供窓口も設置されています。
「団体によるもの」と「事業者によるもの」とがあるのでそれぞれ解説します。
① 専門家が行っている「情報提供窓口」
著作権侵害に対して管理団体を設立して対策する動きもみられます。
下記のサイトでは違法アップロードの「情報提供窓口」を設けています。
[ 著作権管理団体の情報提供フォーム ]
※ ACCS (一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)
本人だけでなく「誰でも情報提供できる」ように対応しています。
個人情報の入力も必要ないので、安心して情報提供することが可能です。
上記の管理団体は著作権の専門家集団のようなので対応も早いそうです。
ACCSは違法アップロードであれば配信事業者の種類は関係なく受け付けています。
② 配信事業者が行っている「情報提供窓口」
各配信事業も受け付けているのですが、法律の専門家ではなく対応が鈍いとのこと。
また、権利部門に多くの人材を配置することが難しいという事情もあるようですね。
現実問題として、専門部署を置いてそのための専門家を置くのは難しいでしょう。
経済コストや時間コストの問題など様々な面でクリアすることが必要となります。
[ 配信事業者の情報提供フォーム ]
情報提供フォーム | |
---|---|
スカパー! | 違法アップロードに関する連絡先 |
パ・リーグTV | お問い合わせ |
DAZN | お問い合わせ |
イレブンスポーツ | お問い合わせ |
パ・リーグLIVE | お問い合わせ |
Rakuten パ・リーグ Special | お問い合わせ |

今の方法では”イタチごっこ”なので専門家を入れないと厳しいでしょうね。
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平成30年の違法アップロードの検挙数は「691件」
平成30年には691件も違法アップロードで検挙したと警視庁から発表されました。
令和元年には35%減少しましたが、それでも1年間で450件の検挙数となっています。
ほとんど報道されないため知らないだけですが毎年多くの人が検挙されています。
また、著作権侵害で検挙される大半が「ネット」によるものとも発表されています。
※ 「令和元年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について / 警視庁」から作図
① 著作権侵害は「民事」と「刑事」で裁かれる
もし著作権侵害で訴えられた場合は以下の罰則が発生します。
民事は個人が個人に対して、刑事は国家が個人に対して訴求されます。
刑事の場合は、その文字通り「警察」が介入する場合もあります。
著作権侵害は軽く考えがちですが、懲役刑にもなる可能性があります。
[ 民事と刑事の罰則 ]
罰則 | |
---|---|
民事 | 差し止め請求、損害賠償請求 |
刑事 | 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方 |
② 著作権侵害と言っても権利侵害は3つ
簡単に著作権侵害と言っても、その中には様々な権利があります。
違法アップロードによる著作権侵害は一般的に3つの権利侵害が該当します。
- STEP
複製権の侵害
他人の著作物をコピー(複製)する行為 - STEP
公衆送信権の侵害
他人の著作物をネット上に公開する行為 - STEP
同一性保持権の侵害
加工など元の状態に手を加える行為
3つ目はYouTubeなどのサムネイル画像でよくみられます。
1つ目と2つ目に関してはネット上に投稿した時点で違法行為が成立します。
② 逮捕された場合は「身柄捜査」か「在宅捜査」
逮捕された場合の捜査は以下の2通りとなります。
[ 身柄捜査と在宅捜査 ]
捜査内容 | |
---|---|
身柄捜査 | 逮捕されたまま身柄を拘留され捜査 (最大23日) |
在宅捜査 | 在宅で生活したままの状態で捜査 |
よほど大規模なものでない限りは多くは在宅捜査となります。
しかし、多額な広告収入を得ていれば身柄捜査も十分にありえます。
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違法アップロードで検挙された事例
以下、実際に検挙された事例を紹介していきます。
プロ野球中継を違法アップロードして逮捕された事例も出ています。
① 格闘技の違法アップロードで「1000万円」の損害賠償請求
スポーツ中継の違法アップロードで平成25年に以下のような判例があります。
被告は「UFC」という総合格闘技の試合をニコニコ動画に違法にアップロード。
判決では著作権侵害に該当するとし、1000万円の損害賠償請求を認めました。
請求額には違いはあれど、違法アップロードは「損害賠償の対象」となるということ。
判例ができたことで以降の裁判判決でもよほどのことが無い限りは変わらないでしょう。
同じく格闘技団体のRIZINも著作権侵害に対しては法的措置をとると明記しています。
② YouTubeにプロ野球中継を「生配信」して逮捕
プロ野球中継をYouTubeに生配信をして逮捕された例もあります。
日本テレビやサンテレビが配信する野球中継(主に阪神戦)を生配信したというもの。
長期間に渡ったことや、登録者が35000人程度いたことから悪質と判断されました。
結果として、スポーツ中継の無許可による生配信では国内初の逮捕者となりました。

YouTubeの違法アップロード逮捕の事例
③ スポーツ以外の違法アップロードで摘発された事例
以下の記事は「スポーツ以外の違法アップロード」で摘発されてニュースになったものです。
スポーツ以外の違法アップロード
- FC2動画への違法アップロードで男性を逮捕 – アフィリエイト目的だった / マイナビニュース
- 「FC2動画」にテレビ番組を違法にアップロード、男性ら逮捕 / INTERNET Watch
- 「FC2動画」で「バイオハザード ダムネーション」無断配信、男性逮捕・送検 / INTERNET Watch
- FC2ライブでアニメ「中二病」違法配信の男逮捕「注目集めたかった」/ ITmedia NEWS
- FC2で「クレヨンしんちゃん」など違法配信の男を送致「小遣い稼ぎのためアップロードした」/ ITmedia NEWS
- 「FC2動画」を通じてアニメを違法アップロード、男性を送致 / ACC
- 「FC2動画」で「相棒12」無断配信 男を送致 / ITmedia NEWS

行っている行為がそのリスクを負うだけの価値があるのでしょうか…
④ 2021年よりリーチサイトは著作権侵害に
令和2年の著作権法改正で「リーチサイト」が著作権の侵害に含まれました。
リーチサイトとは「違法アップロードのリンクを掲載するサイト」のことです。
つまり、他者の違法アップロードを拡散させる行為も違法とみなされます。
安易に違法アップロードされたものをシェアしたりリンクするのは辞めましょう。
また、ブログに違法アップロードされたYouTube動画をリンクしているのも目にします。
こうした行為も著作権侵害の幇助になり、違法を拡散する行為となるので辞めましょう。
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プロ野球関連番組の著作権のQ&A
プロ野球映像関係の著作権のQ&Aを以下にまとめておきます。
テレビの動画をネット上に投稿しても良いですか?
各テレビ局から注意喚起されており、「公衆送信権の侵害」で違法となります。
テレビの映像をスクショしてネット上に投稿しても良いですか?
動画と同様にスクショや写メなどの投稿も「公衆送信権の侵害」になります。
選手のインタビューの文字起こししてネットに投稿して良いですか?
映像と同じく文字にも著作権があるので「複製権の侵害」となります。
「引用」と記載していれば特に問題ないですか?
「引用」には4つのルールがあり、それに沿ってなければ違法です。
もし著作権侵害と申告された場合はどうなりますか?
法的には「民事・刑事」で裁かれ、最悪の場合には逮捕もあります。
① 違法にならないための著作物の利用方法
結局は法律の範囲内で適切な利用に心がけましょう。
野球動画・画像を安全に利用する方法は以下の記事で詳しく記載しています。
【 見る人も著作権侵害に加担? 】野球の映像をSNSやブログで安全に”拡散”する方法
SNSやYouTubeが普及した近年はプロ野球に関する情報はたくさんあります。それら情報を著作権侵害をせずに安全に共有する方法と見る側のリスクについて話を進めます。 ブログ運営の...
② 新聞や雑誌などの違法アップロードにも注意
動画や写真に限らず、新聞や雑誌なども同様に著作物です。
ネット上に投稿すると違法アップロードになる場合があるので注意しましょう。
【 カープ記事の無断使用に中国新聞が警告 】スポーツ新聞記事の著作権と違法アップロード
SNSで新聞記事の無断使用違法に対して中国新聞社が注意喚起をしました。今回はこの件から新聞記事の著作性と安全な利用方法について検討していきます。 ブログ運営の方針当ブログは『プロ...
③ 一緒に読みたい「野球の著作権・肖像権」の記事
ここまで読まれた方はこちらの記事も読んで頂くと深く理解できます。
【スポーツ中継のパブリックビューイング】プロ野球などスポーツを応援する時の「著作権」
2020年は東京オリンピックも開催されてスポーツが盛り上がる1年です。今回はスポーツ映像の上映について関係する法律とともに話を進めていきます。 ブログ運営の方針当ブログは『プロ野...
【 プロ野球の著作権と肖像権 】選手写真やロゴ等の使用についてカープに電話で聞きました
最近ではSNSやYouTubeやブログなどでプロ野球に関する多くの情報を目にします。今回はプロ野球に関する著作権・肖像権について法律も用いながら解説していきます。 ブログ運営の方...
【 プロ野球選手のパブリシティ権 】禁止されている”商用利用”と球団公認で利用する方法
日本のプロ野球選手は著名人の中に含まれます。今回はプロ野球選手とパブリシティ権の関係性について検討していきます。 ブログ運営の方針当ブログは『プロ野球の著作権・肖像権』に準じた運...
【 高校野球は写真撮影禁止に 】ブログやSNSの投稿で気を付けたい”肖像権と施設管理権”
近年、高校野球の写真撮影について色々と議論されています。今回は数年前に話題になった件を振り返り「肖像権」について考えていきます。 ブログ運営の方針当ブログは『プロ野球の著作権・肖...
今回のまとめ
「みんながしてるから自分も大丈夫」と思うのが一番怖いですよね。
著作者が著作権侵害を最初に目にするのが自分になるかも知れません。
そうなると人の負の感情は最初に目したものに強く注がれがちです。
悪気なく知らず知らずということは自分もあるのかも知れません。
知らないことで、おおごとにならないよう気を付けたいと思います。
より良いブログ運営のために、少しずつ勉強していきたいと思います。
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