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會澤翼選手の残留で見えてくる「打撃面の効果」と将来の「監督候補」というポスト

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會澤翼選手のFA宣言をせず3年契約での残留が決まりました。
今回はそれによる効果と見えてきた将来像を中心に話を進めていきます。

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會澤翼選手のカープに残留決定

 

10月10日、會澤翼選手が3年の複数年契約でカープ残留が決定した。
3年契約を結んだのは過去には東出輝裕選手、廣瀬純選手、横山竜司投手など。
近年では丸佳浩選手に提示したもののFA移籍により未契約となっている。
契約金は3年で6億円となり、年度で換算するとほぼ倍増額の年俸となった。
年俸2億円として考えた場合、カープの捕手としては歴代最高額となった。
久々の複数年契約となると思われるが、それだけ必要な選手と評価された。
これでこのオフの1番の問題点が早い時期に解決することになった。

歴代捕手の最高年俸

  • 會澤翼  20000万円 ※ 3年6億円を年分割
  • 石原慶幸 12000万円
  • 西山秀二   8000万円
  • 倉義和    3100万円
  • 磯村嘉孝   1100万円
  • 坂倉将吾     900万円

他球団の捕手の2019年の年俸を見ると、球界最高額の可能性は高い。
森友哉選手のアップ率次第にはなるが、その可能性は高そうだ。
やはり打撃力のある捕手の年俸が上がりやすい傾向にあるようだ。

  • 炭谷銀次郎 15000万円 →現状維持?
  • 嶋基宏   10000万円 →ダウン?
  • 大野奨太  10000万円 →ダウン?
  • 中村悠平    9000万円 →アップ
  • 森友哉     8000万円 →アップ
  • 田村龍弘    7200万円 →アップ
  • 石原慶幸    7000万円 →現状維持orダウン
  • 甲斐拓也    6500万円 →アップ?

www.tokyo-sports.co.jp

残留によって生まれた「打撃面での効果」

 

會澤選手の残留でいくつかのプラスが生じる。
まずはカープ自体の戦力ダウンが避けられたことに尽きる。
リーグNo.1の得点圏打率の.351を記録し、12本塁打を放つ。
そして2019年はプロ入り初の規定打席到達も達成した。
捕手というポジションでこれだけの数字を残せる選手は他にいない。
打力だけで言えば、セ・リーグ屈指の捕手といっても過言ではない。

セ・リーグ捕手の得点圏打率(規定打席到達者)

  • 會澤翼   .351
  • 梅野隆太郎 .330
  • 中村悠平  .258

12球団で300以上打席に立った捕手の「得点貢献度」をグラフ化した。
パ・リーグ首位打者の森友哉選手を打力で上回るのはさすがに厳しい。
しかし、會澤選手も2位につけ、捕手の打撃力としては図抜けている。
これだけの打撃力を持つ捕手が抜けるとなると打撃面での損失は大きい。

 

図1 300打席以上の捕手の得点貢献度

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次に球団別の捕手打撃力を比較してみる。
多くのチームが捕手の打力に課題を抱えているのがよくわかるグラフ。
會澤選手の獲得に乗り出す話が出てたのが巨人、DeNA、楽天、ロッテ。
見ての通り、打撃面でマイナス値を記録しており、捕手の打撃力は弱い。
仮に巨人やDeNAに移籍することになっていれば大幅な補強となった。
ライバルチームの戦力を削ぎ落し、自分のチームの打撃力を向上させる。
結果、「Wの効果」となり、他チームの追随を許さぬ戦力となったはず。
同一リーグのチームから主戦力を引き抜くことはそれだけ効果が大きい。
それが回避出来たことは巨人の独走を防げ、カープにとっては大きかった。

図2 12球団別の捕手の得点貢献度
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続いて、守備面での総合的な数値をグラフ化した。
今回は守備イニングが550機会あった捕手のみピックアップした。
守備面で見ると會澤選手はプラス値ではあるがやや低めの位置にいる。
仮に巨人に移籍していたとしてもさほど大きな補強とはならなかった。
キャッチングの面で指摘されることも多く、こちらの課題はまだ残る。
やはり會澤選手の獲得の大きなメリットは打撃面なのは確かである。

 

図3 守備機会550イニング以上の捕手の守備総合力
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セ・リーグ捕手の盗塁阻止率

  • 小林誠司  .419
  • 梅野隆太郎 .370
  • 中村悠平  .314
  • 加藤匠馬  .286
  • 會澤翼   .265
  • 伊藤光   .245

 

早期の決断が「戦力補強」にも好影響

 

今回、残留が早期の決断であったことは大きい。
というのも、あと数週間後には2019年のドラフト会議が開かれる。
移籍した時に備えて、即戦力捕手のドラフト指名の可能性もあった。
しかし、今回の早期の決断により、その必要性もなくなった。
捕手の指名が急務で無くなり、他の候補者の選定もし易くなった。

ドラフトだけに限らず、トレードなどに関しても同じことが言える。
2018年の丸佳浩選手のように年末までズレ込むと補強にも影響する。
日本シリーズがあったが、巨人入りを決断したのが11月30日。
その時期にはどの球団も戦力整備をほぼ終え、交渉が難しい状況になる。
また、試合に使える中堅クラスの捕手をそうそう手放すチームもない。
仮に有力選手がいたと早い時期に決まり、遅ければ遅いほど対応出来ない。
先日、嶋基宏選手の退団報道があったがあのクラスはすぐに決まってしまう。

FA移籍の決断が後々にズレ込むほど、チームには痛手になってくる。
改めて、今回の件で早期の決断がチームに及ぼす好影響を確認出来た。

2019年捕手登録の選手

  • 石原慶幸 40歳
  • 白濱裕太 34歳 (1軍出場無し)
  • 會澤翼  31歳 
  • 磯村嘉孝 27歳
  • 船越涼太 26歳 (1軍出場無し)
  • 坂倉将吾 21歳
  • 中村奨成 20歳 (1軍出場無し)

 

見えてきた「将来の監督候補」

 

現在もチームリーダーとしてチームをまとめている會澤選手。
選手からの人望も厚く、言うべきことはしっかり言える性格。
菊池涼介選手や田中広輔選手が将来的に監督をする可能性は低い。
鈴木誠也選手もおそらく数年後にはMLB移籍をすることになると思う。
そして、投手陣にも強くチームを引っ張るような人材は存在しない。
そう考えると、會澤選手は将来的な「監督候補」の最有力である。
オーナーも「引退までカープで」と示唆するような発言をしている。

そこで、過去の監督達を振り返る。
1990年以降の歴代監督の現役時代の出場試合数と在籍年数を記載した。
左から監督年度、通算試合数、在籍年数の順に列挙した。

歴代監督

  • 山本浩二  1989-1993 (通算 2284試合出場・18年)
  • 三村敏之  1994-1998 (通算 1567試合出場・17年)
  • 達川光男  1999-2000 (通算 1334試合出場・15年) ※ 監督時は「達川晃豊」
  • 山本浩二  2001-2005 (通算 2284試合出場・18年)
  • ブラウン  2006-2009 (通算  257試合出場・  3年)
  • 野村謙二郎 2010-2014 (通算 1927試合出場・17年)
  • 緒方孝市  2015-2018 (通算 1808試合出場・22年)
  • 佐々岡真司 2019-    (通算   570試合出場・18年)

過去の例を見ると15年以上在籍し活躍した選手が監督となっている。
會澤選手は2019年を終えて、すでに在籍13年目が経過している。
現在31歳でポジションが捕手と考えると、まだまだ活躍できる年齢である。
このままいけば15年どころか、20年近く現役生活でいる可能性は高い。
チームをまとめる資質を持ち、生涯カープ一筋の生え抜きの主力選手。
将来の「幹部候補」としてチームが期待しているのは間違いないだろう。

過去に捕手出身の監督は門前真佐人氏、根本陸夫氏、達川光男氏の3人。
本当に実現すれば「捕手出身監督」はカープで4人目となる。

  • 門前真佐人 1961-1962
  • 根本陸夫  1968-1972
  • 達川光男       1999-2000

   

若手捕手たちが超えるべき「高い壁」に

 

2019年のカープ捕手陣の守備イニング数を紹介する。

  • 會澤翼  926回1/3
  • 石原喜幸 165回1/3
  • 磯村嘉孝 184回2/3
  • 坂倉将吾 004回

見ての通り、會澤選手が残留することであおりを食うのは若手捕手陣だ。
特に坂倉将吾選手や磯村嘉孝選手は1軍の「第3捕手」を争う立場にある。
残留はチームにとってプラスでも、彼らにとってはマイナス材料となった。
いくらチームの勝利が最優先といっても試合に出れないのは本意では無い。
プロである以上、レギュラーで試合に出てチームに貢献したい思いはある。
主力のベテラン捕手が抜けることは大きなチャンスであったのは間違いない。

さらに前述の2人に加え、2軍には中村奨成選手が控えている。
この3人にとって「大きな壁」が目の前から消えることは無かった。
順当にいけばあと4~5年は會澤選手がメイン捕手として活躍するだろう。
ここから彼らは実力でその高い壁を越え、レギュラー奪取に励むことになる。

先日、坂倉選手と磯村選手の三塁挑戦の報道があった。
個人的には坂倉選手は一塁に挑戦して欲しいと以前からこのブログで述べてきた。
捕手と一塁手の親和性は高く、あと数年で松山竜平選手のフル出場は厳しくなる。
バティスタ選手の去就はいまだ不明で、契約しなければ一塁は松山選手1人になる。
三塁や外野に挑戦するよりも、是非とも一塁に挑戦してもらいたい。
ただ、年間20本前後を打てるだけの長打力を持ち合わせることは必要となる。

 

ここまでわかったこと

 

ここまでわかったことをまとめてみよう。

  • 3年6億円の複数年契約で残留決定
  • 打撃面の損失と他球団の強化を回避した
  • 早期の決断が戦力補強にも好影響
  • 将来の監督候補の可能性が見えてきた
  • 若手捕手陣には引き続いて高い壁に

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今回のまとめ

 

今回は會澤翼選手のカープに残留決定を中心に話を進めてきた。
シーズン途中からFA移籍の可能性は各メディアで報道されていた。
特に関東出身ということから、2018年に続き在京球団の移籍が噂された。

しかし、ゴタゴタすることなく早期に残留決定のベストな形となった。
會澤選手の球団に対する愛情も見られ、やはり欠かせない選手と再認識した。
この結果にがっかりした他球団の関係者もいただろうと思う。

特に楽天は嶋選手をリリースし、準備態勢は整っていたと思われる。
しかし、會澤選手のカープ愛は強く、広島の土地への愛も強かった。
とかく移籍には金銭面の交渉が表沙汰になることが多いのも事実である。
今回はそういったことが出ることもなく、早期解決に至った。
迷っただろうが、早期に残留を決断してくれた會澤選手に感謝したい。

チームには欠かせない選手たちの兄貴分である會澤選手。
2020シーズンは再び優勝を勝ち取れるよう活躍する姿に期待したい。

 

 

 
最後までお読み頂きありがとうございました。 

記事:會澤翼選手の残留で見えてくる「打撃面の効果」と将来の「監督候補」というポスト

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