かーぷらぼ

広島で生まれ育った野球を担当するトレーナーのカープ研究(ラボ)ブログ

発覚したバティスタ選手のドーピング違反、浮き彫りになってきた3つの問題

この記事をシェアする

広島に衝撃を与えたバティスタ選手のドーピング違反から10日。
今後どのような処分が下り、どんな問題があるのかをを検討していきたい。

f:id:carp-toyo:20191018171735j:plain

 

 

 

衝撃が走ったドーピング違反の発表

 

8月17日にカープ球団よりバティスタ選手のドーピング違反が発表された。
想像もしていない突然の発表で野球界のみならず、広島県にも衝撃が走った。
その後、経過や違反薬物に関してはNPBからもカープからも発表されていない。
まだ不明なことの多い今回の出来事であり、ファンの中でも混乱が起きている。
そこで、バティスタ選手はどのような処分を受け、どうなっていくかを考えてみたい。
また今回のドーピング違反の件で抱えている3つの問題についても触れていきたい。

www.nikkansports.com

 

過去のドーピング違反の選手たち

 

過去にNPBのドーピング違反は6人おり、そのうち外国人選手5人。
違反した外国人選手とそれぞれの処分は以下の通り。

  • 2007年 ガトームソン (ソフトバンク)  20日の出場停止 (制裁金750万円)
  • 2008年 ゴンザレス (巨人) 1年間の出場停止        
  • 2008年 リオス (ヤクルト) 1年間の出場停止
  • 2018年 アマダー (楽天) 6ヵ月の出場停止 (自宅謹慎)
  • 2019年 メネセス (オリックス) 1年間の出場停止

違反した唯一の日本人選手は、当時中日に在籍した井端和弘選手。
禁止薬物の入った治療薬の申請ミスによるものであった。
処分は意図的ではないと判断され、1番軽い譴責(けんせき)となった。
同時に、球団からは制裁金として300万円の命令が下された。

www.sponichi.co.jp

 

ドーピング違反の通達後の流れ

 

カープ球団にドーピング違反決定の連絡があったのが8月16日の午後9時。
今日でちょうど10日になるが、その間にバティスタ選手の弁明の機会が設けられる。
その弁明を聞き取ったあと、20日以内に調査選定委員会が開かれ処分が決定する。
つまり、弁明の期間と委員会の期間の30日以内に判断が下ることになるのである。

処分の中身に関してはNPB(日本プロ野球機構)の規約では以下のとおりである。

  1. 譴責(けんせき) 始末書をとり、将来の戒め(いましめ)とする
  2. 一定期間の出場資格停止 (1試合以上10試合以下の出場停止)
  3. 一定期間の出場資格停止 (1年以下の公式戦出場停止)
  4. 無期限の出場資格停止

最悪、無期限の出場資格停止という非常に厳しいものもある。
MLBなどに比べ、NPBでは絶対起きてはならない問題として見ている。
今回の問題がそうそう簡単な話ではないことはよくわかるだろう。
www.nikkansports.com

では、MLBの場合はどうなるのだろうか。
MLBの場合、NPBとは異なり「一発アウト」の契約解除にはならない。
詳しい人はわかるだろうが、MLBを見てると度々違反した選手の話は耳に入る。
日本でも有名な元スター選手も数年前にドーピング違反で出場停止となっている。

ちなみに、発覚1回目は80試合、2回目は162試合、3回目で永久追放となる。
このように3段階になっており、2014年から罰則が厳格化されている。
ただ、ヘンリー・メヒア投手は永久追放になっているが2019年に復帰している。
NPBと比較すると、ずいぶん甘い処分となっているのも事実だろう。

www.afpbb.com

この後は、タイトルにある「3つの問題」に触れていきたい。
起きている問題は大きく、余波は小さいとは言えなくなっている。

 

「1年の出場停止の場合」で起きる問題

 

まず真っ先に考えるのが「1年間の出場停止」の場合である。
現時点から考えてほぼ9月に決定しても、復帰は来年の9月になる。
ただ、それも復帰時期がそこにあるだけで、当然すぐに1軍復帰とはならない。
練習をするとはいえ、休んだ状態から1軍で試合に出て結果が出る程甘くはない。
通常であれば、キャンプやオープン戦から徐々に慣れてシーズンに入っていく。
一足飛びに1軍に復帰してまともに活躍出来るとは想像出来ないだろう。
例えば、イチロー選手が2018年5月から長期試合から遠ざかった。
復帰後、守備や走塁に関しては休む前と遜色なかったが、打撃は精彩を欠いていた。
実際にプロ野球でなくても、投げること走ることよりも打撃のブランクは大きい。
当然ながら、相手が投げてくる球に対応するので、遠ざかると対応能力が落ちる。
ましてやプロ野球のトップクラスたちの球となるとそう簡単に打てるものではない。

そう考えると、2020年の9月に復帰したとしても、本格復帰は実質2021年になる。
現時点から考えると、1年半近くは1軍クラスとの対戦から遠ざかるようになる。
これまで継続してきたからこその結果だが、同じように残せるかは微妙ではある。
仮に2021年に復帰したとしても、積み重ねてきた現在とは異なる可能性もある。

また、当然ながらこのオフには外国人野手の補強が急務となるのは確実。
もし補強した外国人野手が日本野球にフィットした場合、現在のポジションは無い。
特にサードを守れ、長打が打てる選手が補強出来れば、そちらが優先となるだろう。
そうなれば復帰出来たとしても、今と同じような出場機会は無いかも知れない。

 

「6月の時点で出場させるべきだったのか」という問題

 

1つ目の検体のドーピング違反は6月にすでに判明している。
その時点で故意であれ故意ではないであれ「違反」であることは間違いない。
本人が否定していたとしても、結果として出てしまった事実は変わることは無い。
その時点で一時的にでも出場を停止するなどの処置は取れなかったのだろうか。

問題なのは違反だけではなく、チーム成績が関わってくることにある。
2019年のカープ打線はバティスタ選手と鈴木誠也選手の出来次第の打線である。
特にバティスタ選手の打撃成績とリンクするかの如く、チーム成績に反映してきた。
もし今回のことが影響していた場合、その後も出場させていたこと自体がマズイ。
一旦決まった勝敗を変える訳にもいかないし、白紙に戻す訳にもいかない。
最悪の場合、どこかのチームから連盟にクレームを訴えられてもおかしくない。

詳細な手順はよくわからないが、もう少し適切な対応は無かっただろうか。
チームとして自主的に対応したり、連盟として早い時期に処分を下すなど。
一時的な措置を取るなり、早めに公開するなり何かしら対応は出来たのではと思う。
他球団のファンにとっては「隠していた」と誤解をされても仕方ない状況ではある。
元々は本人の問題ではあるが、周囲も何か対応が出来なかったのだろうか。

「どのような経緯だったのか」という問題

 

最終的にはここになってくるが、どのような経緯で違反が起きたのだろうか。
故意であれば、そもそも本人が悪いと知りながら摂取していたという問題になる。
もし故意で無ければ、どのようなミスがあったこのようなことになったのか。

梵英心選手(※)がテレビ番組で言っていたがトレーナーからの指導は厳しいらしい。
当然ながら、最近のスポーツ界は以前に比べて厳しく、野球界も例外ではない。
ただ、オリンピック競技や記録競技に比べるとチェックが甘い状況ではあるだろう。

仮にチームとして対策を取り、厳しく指導したとしても最終的に選手次第にはなる。
不注意で市販の薬を勝手に摂取したり、認識が甘ければ検査にはひっかかる。
また、外食した際に知らない人に出されたものは口にしないなどの注意も必要だ。
あからさまな違反行為でなくても、日常のことでも十分違反は起きうるのである。

もし故意で無かったとしたら、本人がそれを普段からどれだけ注意出来ただろうか。
例えば、外食して記憶が無かったりするだけでも知らないうちに摂取する危険もある。
酔って記憶が無いことは一般でもよくあるが、スポーツ選手は注意が必要になる。
今回のバティスタ選手のようなミスを犯せば、本人にも億単位の損失が生じる。
もし不注意だったとして、これで出場機会を失いプロ生活が終わる可能性もある。

誰かの好意でもわからないものは安易に口にしない、断る勇気も必要である。
その際はドーピング検査があるからといって片言でも丁寧に断れば済む。
また、記憶を無くすような状況にならないよう自己管理することも必要である。

今回は故意でなかったとして自己管理の問題になる。
どちらにせよバティスタ選手の何かに問題があったのは事実だろう。
再発を防止するために今回の経緯をハッキリさせて対応策を練って頂きたい。
※ 梵栄心選手は現在は社会人野球のエイジェック硬式野球部に選手兼コーチで所属

 

メネセス選手に下された重い処分

 

2019年はオリックスのメネセス選手もドーピング違反を犯した。
発覚後にメネセス選手本人は2度の聴取に対して「意図的ではない」と弁明。
しかし意図的と判断したのだろう、結果は「1年間の出場停止処分」となった。
その後、6月27日にオリックス球団からも契約解除となっている。

今回、バティスタ選手が「意図的ではない」と弁明しても同じ処分の可能性はある。
いまだ禁止薬物が発表されていないため、現時点では中身がよくわからない。
ただ、同様に筋肉増強剤であれば、状況は同じになるためより可能性は高まる。
メネセス選手は1年間、バティスタ選手はそれ未満という訳にはいかないだろう。
今後は何の薬物が出たのか、それがどういった経緯なのか次第で状況は変わる。

www.baseballchannel.jp

 

MLBでも試合に出られない

 

もし日本で解雇になった場合でも、MLBでプレイしたら良いと考えるだろう。
しかし、NPBと協定を結んでいるMLBでもそのまま処分が引き継がれる。
もし1年間の出場停止の処分が下れば、MLBでも1年間出場することが出来ない。
そのため、安易に「MLBで復帰を」と言う訳にはいかない事情がある。

その他の国のリーグではそれぞれで規約があるため出場出来るリーグもある。
ただし、NPBやMLBのような高い年俸は用意されず、環境も悪くなるのは必須。
辞めてそちらでプレーするのか、解除まで待つのかは選手が決める所ではある。
選択次第では、選手としての立ち位置は大きく変わる分岐点となるだろう。

 

バティスタ選手の契約解除はあるのか?

 

バティスタ選手の場合はどうだろうか。
個人的にはアカデミー経由もあり、契約解除までは無いと考えている。
育成契約に戻すなどの処分で「球団保留」という形にするのではないだろうか。
ただ、自主的に退団を申し出た場合には契約解除ももちろんあり得る。
あとは長期間の試合出場停止の場合、本人のモチベーションが続くかどうか。
どんなに技術があり活躍をしていても、気持ちが切れてしまえば元も子もない。
ケガならまだしも、体は元気なら尚更本人にとっては苦しい期間となるだろう。

 

余波はグッズ販売にも影響

 

ドーピング違反の通達後、バティスタ選手の関連グッズが撤去された。
実際にスタジアムに行ってみたが、どこにもグッズは置いていなかった。
バティスタ選手のグッズはもう購入することが出来なくなるかも知れない。
最悪の状況になればだが、こういった所にも今回の問題の余波が起きている。
当然、グッズ制作費はかかっているので廃棄になれば大きな損失になる。
主力選手の不祥事にはこういった「ビジネス的側面」での影響も大きい。

hochi.news

 

弁明終了の報告 (8/30追記)

 

29日までにバティスタ選手の弁明が終了したようだ。
もちろん、本人は弁明の機会を求めるだけあり否定しただろう。
とはいえ、今となってはその証言自体の信憑性も定かではないのも事実。
どのような弁明が行われたかはわからないが、NPB側の結果を待つしかない。
いずれにせよ、メネセス選手の処分を考えると簡単には収まらないだろう。

www.sponichi.co.jp

 

ここまでわかったこと

 

ここまでわかったことをまとめてみよう。

  • ドーピング違反したのは6人で、そのうち5人が外国人選手
  • ドーピング違反は厳正なる処分が下り非常に重い
  • 1年間出場停止の場合、本格的な復帰は2021年から
  • その間に外国人野手が活躍した場合、今のポジションは無い
  • ブランクが長いとパフォーマンスが大きく落ちる可能性も
  • 疑惑がある中でそのまま試合に起用し続けていた
  • 一時的な出場停止などチームやNPBは対応出来なかったのか
  • 出場し続けた間のチーム成績は白紙にはならない
  • 再発を防ぐために今回の経緯を明確にする必要がある
  • MLBでも処分が継続されるため出場出来ない

 

今回のまとめ

 

今回はバティスタ選手のドーピング違反について話を進めてきた。
個人的にもカープファンの方にとっても非常に残念な出来事となった。

とりあえず、不明なことが多く予測が付きにくい。
経緯や検出薬物に関しては、現時点でどこからも発表はされていない。
処分と同時に発表となる見込みで、処分がどうなるかが待たれる。
状況によっては1年間の出場停止となる可能性も高いと考えられる。
もしそうなった場合、カープにとっては相当痛手を被ることになる。

ただ、意図的であれ、意図的でないであれ本人の責任に変わりない。
その責任は重く、球界やチームへの影響はかなり大きいものとなった。
今回の経緯を明らかにし、今後の再発防止に向けて取り組んで頂きたい。

これまでカープではなかったため非常に残念でならない出来事であった。
まずは処分の発表を待ち、本人とチームの今後の動向に注目したい。

 

 

 
最後までお読み頂きありがとうございました。 

記事:発覚したバティスタ選手のドーピング違反、浮き彫りになってきた3つの問題

 

▼続編記事はこちらです

www.carp-damashii.work

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

※ 当ブログの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
※ 盗用を発見した場合、サーバー会社・ドメイン会社・google等に連絡し法的に対応致します。
※ 当ブログの写真は広島東洋カープに電話で直接問い合わせ、許可の範囲で掲載しています。

Copyright© かーぷらぼ 2019 All Rights Reserved.