エース大瀬良大地投手の2019年、念願の沢村賞獲得に向けて必要なものは?

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今シーズン、エースとして認められるために大事な1年となる大瀬良大地投手。
球界を代表する投手に贈られる沢村賞獲得に向けて何が必要か考えてみました。

 

沢村賞とは

 

改めて沢村賞を振り返る。
一般的に沢村賞と呼ばれているが、正確には『沢村栄治賞』とのこと。
ちなみに「沢村栄治」とは1930~1940年代に活躍した元読売巨人軍の投手。

ja.wikipedia.org

 

2012~2018年の沢村賞受賞者

 

改めて、2012~2018年の受賞者を年度順に振り返る。
            ※ 数字が小さいので拡大してください。

   年度    受賞者     登板  完投  勝利    勝率   投球回   三振   防御率 

 2012年 攝津正           27    3   17   .773  193.1  153   1.91

 2013年 田中将大       28    8   24 1.000  212.0  183   1.27

 2014年 金子千尋          26    4   16   .762  191.0     199   1.98

 2015年 前田健太     29    5   15   .652  206.1  175      2.09

 2016年 ジョンソン     26    3   15   .682  180.1  141      2.15

 2017年 菅野智之      25    6   17   .773  187.1  171      1.59

 2018年 菅野智之   28  10   15   .652  202.0     200      2.14

圧巻なのは2013年の24勝0敗勝率1.000の田中将大投手。
20勝で見ていけば、2008年に岩隈投手が21勝したが、それでも勝率は.840。
もう少しさかのぼると、2003年に20勝で井川慶投手が.800斉藤和巳投手が.870
20勝をあげるような投手でさえも、勝率.900以上は超えていない。

田中投手を除いてみても、過去最高は1966年の堀内恒夫投手の.899が最高。
過去のプロ野球の歴史を見ても.900を超えた沢村賞投手は田中将大投手だけである。
これに加え、黒星が1つもつかずにシーズンを終えたのは奇跡に近い。

 

沢村賞の条件とは

基本的に選考基準は7項目。

  • 登板試合数 / 25試合以上
  • 完投試合数 / 10試合以上
  • 勝利数 / 15勝以上
  • 勝率 / 6割以上
  • 投球回数 / 200イニング以上
  • 奪三振 / 150個以上
  • 防御率 / 2.50以下

  ※ 2018年からはクオリティスタートを補足として追加

 

受賞者たちの基準達成度

 

実際に受賞者たちがどれだけこの基準を達成していのか。

   年度    受賞者     登板  完投  勝利    勝率   投球回   三振   防御率 

 2012年 攝津正           27    3   17   .773  193.1  153   1.91

 2013年 田中将大       28    8   24 1.000  212.0  183   1.27

 2014年 金子千尋          26    4   16   .762  191.0     199   1.98

 2015年 前田健太     29    5   15   .652  206.1  175      2.09

 2016年 ジョンソン    26    3   15   .682  180.1  141      2.15

 2017年 菅野智之     25    6   17   .773  187.1  171      1.59

 2018年 菅野智之     28  10   15   .652  202.0     200      2.14

これを見ていくと、すべての投手が達成できたのは以下の4つとなる。

  • 登板試合数
  • 勝利数
  • 勝率
  • 防御率

2012年の攝津投手、2016年のジョンソン投手の完投数と奪三振数は少ない。
全般的に見ても、完投数を達成しているのは2018年の菅野投手だけになる。
奪三振数の条件を満たすのも、2014年の金子投手と2018年の菅野投手の2人。
必ずしもこの2つの数字は重要視されている訳ではないのがわかる。

とにかくにも、2018年の菅野投手が全てクリアしたのは圧巻であった。
ただ、本人も自覚している通り、ベストな状態ではないシーズンだったのも事実。
それでもこれだけの数字を記録できることが球界No.1投手の証である。

 

攝津投手とジョンソン投手の共通点

 

2012年の攝津投手の奪三振率が7.12と決して高いとは言えない。
同様に、2016年のジョンソン投手も7.04と高い投手とは言えない。
共に三振数の多い投手ではなく、打ち取るタイプに属する。
特に2016年のジョンソン投手においては、打球の6割近くがゴロとなった。

また、共通する項目としてクオリティスタート率が高さにある。
攝津投手が88.89%、ジョンソン投手が92.31%とリーグトップクラス。
完投数こそ3と最も少ないものの、平均して先発の役割を果たしていた。

この2人からわかることは、評価基準として投手タイプも加味されている。
必ずしも三振数が沢村賞を決める基準とはならないことを示した。

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沢村賞と優勝は関係するのか

 

実際に受賞者たちがどれだけこの基準を達成していのか。

   年度    受賞者     登板  完投  勝利    勝率   投球回   三振   防御率 

 2012年 攝津正           27    3   17   .773  193.1  153   1.91

 2013年 田中将大       28    8   24 1.000  212.0  183   1.27

 2014年 金子千尋          26    4   16   .762  191.0     199   1.98

 2015年 前田健太     29    5   15   .652  206.1  175      2.09

 2016年 ジョンソン    26    3   15   .682  180.1  141      2.15

 2017年 菅野智之     25    6   17   .773  187.1  171      1.59

 2018年 菅野智之     28  10   15   .652  202.0     200      2.14

受賞と同時に優勝したのは2013年の田中投手と2016年のジョンソン投手のみ。
こうして見ていくと、MVPと比べて優勝したかどうかはあまり関係ない。
あくまでもその年に“投手として優れていたかどうか”が大事になる。

 

ここまででわかった傾向

 

近年の傾向を観察すると、以下のことがわかる。

  • 登板数・勝利数・防御率のクリアは必須項目
  • 完投数や投球回数よりもクオリティスタート率を優先
  • 三振数は投手のタイプもあり参考程度に過ぎない
  • チームの優勝と受賞はほとんど関係がない

 

改めて考える先発投手の役割

 

近年では完投する投手が減り、完投型投手も数えるほどしかいない。
2018年こそ菅野投手が10完投したが、毎年のように完投が多い訳ではない。
沢村賞の条件に2018年からはクオリティスタート率も補足として追加された。
長く投げることよりも、いかに試合を作るかが重要視されるようになった。

投手タイプとして打ち取るほうが球数が少なく、長いイニングを投げられる。
近年はMLBの影響もあり、小さな変化で打ち取る投手が増えてきつつある。
多くの試合、多くのイニングを投げるためには、それも必要な要素になる。

 

2018年の大瀬良投手の選考基準達成度は?

 

改めて、2018年の大瀬良投手の成績を振り返ってみる。
前編で出てきた「選考基準7項目」の達成度を見ると、4項目で達成している。
達成度としては良い方であると思われるが、やはり菅野投手の成績が圧巻だった。
相対的評価なため、例年なら受賞する成績を残しても選ばれない年もある。

 

「4つの必須項目」の達成度は?

 

さらに4つの必須項目の達成度をみてみる。
4つの必須項目とは「登板数、勝利数、勝率、防御率」になる。

達成度は4項目中3項目、防御率のみ達成できていない。
2012~2018年の7例を見ると、防御率は1.27~2.15の間にある。
この間の防御率の平均は1.87と、平均から見ると0.75も高い。
1試合平均で1点弱ほど自責点が多い計算となる。
仮に27試合登板で計算すると、年間の自責点が20程度は多くなる
0.75と聞くとたいした数字ではないが、年間だと結構な数字になる。

 

クオリティスタート率を追加してみると

 

クオリティスタート率(QS率)も加えてみる。
「QS」とは簡単に言えば、「6回以上投げて自責点3点以内に抑える」こと。

   年度    受賞者     登板  完投  勝利    勝率   投球回   三振   防御率  QS率

 2012年 攝津正           27    3   17   .773  193.1  153      1.91      88.84

 2013年 田中将大       28       8   24 1.000  212.0   183   1.27    100.00 

 2014年 金子千尋          26    4   16   .762  191.0     199   1.98      84.62

 2015年 前田健太     29    5   15   .652  206.1  175      2.09      89.66

 2016年 ジョンソン     26   3   15   .682  180.1  141      2.15      92.31

 2017年 菅野智之      25   6   17     .773  187.1  171      1.59       84.00

 2018年 菅野智之   28  10     15     .652  202.0     200      2.14      70.37

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2018年   大瀬良大地        27    2   15  .682  182.0  159    2.62      77.80

ここで意外にもわかることは、2018年の菅野投手のQS率は低いということ。
完投数に関しては、2012年以降最多であるのにQS率が低い結果となった。
この点から、完投できる試合以外は意外に早い回で降板していると想像できる。
本人も絶好調の年ではなかったという通り、波のあるシーズンだった可能性もある。

再度、全体の結果を見てみると、やはり84~100%と高い
2013年に記録した田中投手の数字は、再三にはなるが異次元である。
2018年からQS率が選考基準の補足として追加された意味を再認識出来る。

大瀬良投手に話を戻すと、まずまずといったところだが一押し足りない。
80%のラインがクリアできてくると、もう少し投球回数も増やせてくる。

 

大瀬良投手の成績を整理すると

  • 登板数・勝利数・勝率・三振数はクリアしている
  • 防御率が平均と比べて良くない
  • QS率が平均と比べて少し物足りない

以上のような結果となった。
防御率・QS率・投球回に関しては連動して変化するので改善したい。
完投数も少ないが、ここは前編の話の通りあまり気にしなくても良い。

 

失点の多さを作る課題

 

大瀬良投手の課題は被本塁打の多さにある。
被本塁打とは簡単に言えば『本塁打を打たれた数』のことになる。
キャリアハイの2018年でもリーグ最多の本塁打を打たれている。

ライバルの菅野投手と『打たれた割合』で比べてみると、2倍近くの数値になる。
10勝を達成した2014年と2017年を見ても、同じような傾向がみられる。
意外にもストレートに課題があり、まだまだ改善の余地がみられそう。
この原因に関しては予測はついているが、明確なデータがないので割愛する。

また、ランナーを背負った場面でも1割近く高い割合で打たれている。
本人も2019年の課題として、セットポジションでの投球を挙げていた。
菅野投手に負けないためには、この課題は是非とも改善したい。

 

単純な「投手の能力」でみると

 

沢村賞の選考基準とは関係ないが、投手の能力を示す数値をみてみる。
2014年以降のデータになるが、2.00台前半から後半を示している。
そこに2018年の大瀬良投手を比較すると、4.00台とやはり高い。
防御率と同じように見ればわかりやすいが、やはり高い数字が出た。
専門的なデータのため沢村賞とは無関係だが、ここでも結果が見られた。
これを高くしている要因としては、やはり先ほどの課題だろうと思う。

 

今回のまとめ

 

歴代の受賞者と大瀬良投手を比較することで、少し課題がみえてきた。
もちろん本人は十分に理解している課題なのは間違いないだろう。
まだまだ完成形ではない大瀬良投手にはこれからの成長が期待が出来る。
2019年シーズン、12球団を代表するような投手になることを願っている。

 

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

ゆとりの美学。 力を抜くこと、サボることを恐れない

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