【 プロ野球のドーピング問題 】疑問の残ったサビエル・バティスタ選手の「処分内容」

簡単な自己紹介

JUNJUN
16年目の医療系国家資格取得者で野球を中心に活動し、現在は『法律』も勉強中です。
詳しいプロフィール

 

バティスタ選手のドーピング違反の処分が発表されました。
6ヵ月という処分が下されましたが、その問題と今後について検討したいと思います。

 

 

ドーピング違反の処分発表

 

9月3日にサビエル・バティスタ選手のドーピング違反による処分が発表されました。
NPBアンチ・ドーピング調査裁定委員会の判断により処分内容は6ヵ月の出場停止
順当に処分通りにいけば、2020年の3月頭には試合復帰が可能となる。

検出されたのは「クロミフェン」と代謝物の「ヒドロキシクロミフェン」。
ホルモン調整剤でステロイドを使用した際にホルモンバランスを正常化させます。
NPBで「クロミフェン」が検出されたのは今回が初めてとなったようです。

般的にはホルモン調整薬で「排卵誘発剤」として使用されます。
下垂体に作用し、黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌を促進します。

ステロイド使用はテストステロン(男性ホルモン)産生を促します。
クロミフェンはその作用を正常化する効果があると言われています。
つまり、クロミフェン検出は「ドーピング隠し」と判断されています。

 

① 出場停止「6ヵ月」という処分は正しいのか

 

ここで改めて、処分内容について考えてみたいと思います。
今回、物議を醸しそうな点としては「6ヵ月」という部分です。

つまり、「試合数」ではなく「期間」という点に問題があるように思います。
今から6ヵ月というとオフの期間までそこに含まれることになります。

年間通じて活動するような競技であればそれでも問題は無いでしょう。
しかし、日本シリーズが終わり、1月末までは球団からは離れる形になります。
処分にオフの期間も含まれるのであれば、少し問題があるのではないでしょう。

本来であれば処分は「期間」ではなく「試合数」にするべきです。
それならばシーズンを跨いだとしても、時期が変わっても平等な処分となります。

 

[ スポンサーリンク ]

 

② MLBでは「期間」なのか「試合」なのか

 

そこで今回気になってMLBの処分内容を調べてみました。
3月にはアストロズのフランシス・マルテス投手がクロミフェンで処分されています。

その内容を見ると、やはり「試合数」での処分で、80試合出場停止となっています。
MLBでは「期間」を採用せず、「試合数」で処分する適切な対応が取られているようです。
これが妥当なのですが、NPBでは的確な判断が下されてないのが正直なところです

 

少しさかのぼって過去のドーピング違反選手たちもみていきます。
当然ながら、50~80試合と「試合数」での処分となっていました。

[ MLBでの薬物使用の処分 ]

選手名 処分 処分時期
ウィルソン・ベテミット内野手 50試合 2015年2月
デビット・ロリンズ投手 80試合 2015年3月
マービン・サンタナ投手 80試合 2015年4月
ヘンリー・メヒア投手 80試合 2015年4月
ディー・ゴードン内野手 80試合 2016年4月
デービット・ポーリーノ投手 80試合 2016年7月
ロビンソン・カノ内野手 80試合 2018年5月
エリベルト・ソーサ投手 72試合 2018年12月
オスカー・トーバー投手 50試合 2018年12月

 

③ 韓国プロ野球も「試合数」での処分

 

次に韓国プロ野球での処分内容を調べてみました。
2015年に薬物使用で処分されたのがハンファの崔鎮涬(チェ・ジンヘン)選手。

処分内容は30試合の出場停止と、やはり「試合数」での処分でした。
ちなみに当時は30試合という「軽い処分」も問題となったようです。

現在は日本のロッテでも活躍した金泰均選手と一緒にプレーしています。

 

[ スポンサーリンク ]

 

④ 改めてNPBの規約を見ると基準は「試合」

 

改めてNPBの規約を見てみると、処分は「試合」「公式戦」となっています。

  • 譴責(けんせき) 始末書をとり、将来の戒め(いましめ)とする
  • 一定期間の出場資格停止 (1試合以上10試合以下の出場停止)
  • 一定期間の出場資格停止 (1年以下の公式戦出場停止)
  • 無期限の出場資格停止

 

となると、今回の「期間」での処分はルールとは異なるのではないでしょうか。
今回の件で疑問が残るのは「ルールとは違った処分の形」になっているという点です。

 

⑤ スコット・マシソン投手も処分に言及

 

今回の処分に対して疑問を呈する選手もいます。
マスコミに向けて明確に言及したのが巨人のスコット・マシソン投手。

2020年の開幕から試合に出られることについて処分の甘さを言及しています。
改めて、なぜ試合数ではなく、期間になったのかについて疑問が残ります。

 

他競技の「クロミフェン使用選手」の処分内容

 

今回の件で検出されたのが「クロミフェン」。
同様の検出物を使用した他の競技選手の処分内容をみていきます。
2014年以降に使用が発覚して、処分されたのは以下の3選手です。

① 国内他競技の処分内容

 

古いものではビーチハンドボールでは3ヵ月の資格停止処分となっています。
処方された持病の治療薬に含まれており、知らずに使用したとのことです。

www.sponichi.co.jp

 

学生陸上では競技成績の失効2年間の資格停止処分となっています。
本人は海外サプリメントが原因で意図的な摂取は否定しているようです。

www.sanspo.com

 

自転車競技でも競技成績の失効4年間の資格停止となっています。
同様に本人は「意図的な摂取はない」と否定しているようです。

www.nikkansports.com

 

ボディビルでは競技成績の失効2年間の資格停止となっています。
協会の発表のみでメディアの報道がなく、本人のコメントは確認できませんでした。

 

パワーリフティングでは競技成績の失効4年間の資格停止となっています。
新聞社の報道はありましたが、本人のコメントは確認できませんでした。

www.sanspo.com

 

[ 国内のクロミフェン使用による処分 ]

処分内容 検出物質
ビーチハンドボール (2012) 3ヵ月の資格停止 クロミフェン
学生陸上 (2018) 競技成績の失効2年間の資格停止 クロミフェン
自転車競技 (2018) 競技成績の失効4年間の資格停止 クロミフェン・メタンジエノン
ボディビル (2018) 競技成績の失効2年間の資格停止 クロミフェン
パワーリフティング (2018) 競技成績の失効・4年間の資格停止 クロミフェン・メテノロン・ボルデノン

 

② 海外他競技の処分内容

 

2014年にはUFCの選手から検出されています。
本人が引退する意思を表明したことで、出場停止処分は行われていません

ja.wikipedia.org

 

2016年7月に行われたUFCの大会で2名の選手から検出されています。
共に故意ではないと主張しましたが、1年間の出場停止となりました。

www.afpbb.com

www.excite.co.jp

 

2017年にはショートトラックの銀メダリスト選手から検出されています。
自転車競技の選手と同様の処分となる4年間の出場停止となりました。

www.afpbb.com

 

2019年に再びUFCの選手から検出されています。
前年の検査でも禁止薬物が検出されており、2年間の出場停止となりました。

 

[ 海外のクロミフェン使用による処分 ]

処分内容 検出物質
プロレスラー (2014) なし クロミフェン・アナストロゾール
プロレスラー (2016) 1年間の資格停止 クロミフェン・レトロゾール
プロレスラー (2016) 1年間の資格停止 クロミフェン
スピードスケート (2017) 4年間の資格停止 クロミフェン・メタンジエノン
プロレスラー (2019) 2年間の資格停止 クロミフェン・アナストロゾール

 

 

③ アマチュア競技では厳格な処分が下される

 

過去の事例をみていくと、他競技の処分はNPBに比べ非常に重い処分
オリンピック競技ではドーピング根絶のため厳格な処分が行われています。

ビーチハンドボールは3ヵ月と唯一軽い処分となっています。
これは2012年当時はそこまで厳しく処分されなかったためと思われます。

2年間、4年間停止という期間はスポーツ選手にとって致命的です。
ただ、これが適切であり、NPBのドーピング根絶に対する緩さを感じます。

 

[ スポンサーリンク ]

 

今後のバティスタ選手の動向

 

処分は下されたので、あとは17日までに異議申し立てが認められています。
ただ、これ以上否定をしても「シロ」を証明する証拠がある訳でもありません。
同時に異議申し立てをしたところで、これまで通り、処分は変わらないでしょう。

① 処分期間中は球団施設は使用できない

 

この6ヵ月の間、球団施設は使用できず、練習試合にも参加できません。
カープが契約を延長したとして、その間、どう過ごすのかという問題があります。

球団施設が使えないとなると、ドミニカのアカデミーも使えません。
つまり、広島でもドミニカでも思ったような練習が出来ないことになります。

当然ながら、球団が動いて何か施設を用意することも禁止でしょう。
そうなると、あとはウインターリーグなどに出て自分で調整するしかありません。

または球団とは全く関係のない人物に協力を得ながら練習するしかありません。
そう考えると、選手としてはかなり厳しい状況に置かれることも予想されます。

 

② 追記 : ウインターリーグに参加が決まる

 

予想していた通り、ウインターリーグに参加することになったようです。
所属先はレオネス・デル・エスコヒード(Leones del Escogido)というチーム。

エスコヒードには2015年オフに筒香嘉智選手が参加しています。

こうなる予測はできましたが、残るはカープとの契約問題。
方針が「解雇」ならすでに行っていてもおかしくないですが未だ発表は無し。

結論を出さないのは、今後補強する外国人次第なのか。
または、即発表では世論の反発を買うため、時間を置いて発表するのか。
個人的にはおそらく育成契約の形をとるのでないかと思っています。

 

 

[ スポンサーリンク ]

 

ここまでわかったこと

 

ここまでわかったことをまとめてみよう。

  • 検出物質はクロミフェンとヒドロキシクロミフェン
  • 出場停止の期間は6ヵ月
  • 処分は「期間」ではなく「試合」が望ましい
  • MLBと韓国プロ野球は「試合」
  • 他の競技では2~4年の資格停止と厳しい処分
  • NPBの規約では「試合」となっている
  • 経緯を判明するのは非常に厳しい
  • 6ヵ月間は厳しい現実・環境が待っている

 

今回のまとめ

 

今回はサビエル・バティスタ選手のドーピング違反の処分について話を進めました。
処分内容が6ヵ月という「期間」によるもので少し波紋が起きそうです。

処分としては「試合数」にするのが適切でしょう。
NPBの規約にも試合での記載があり、それに沿った発表が必要です。
それについては今後のNPBの見解にも注目したいところですね。

ひとまず処分は下されたので、今後どうなるか。
カープは契約を継続するのか、シーズンオフの期間を過ごすのか。
様々な問題が山積しており、その後の動向に注目しましょう。

これから厳しい状況が待っているサビエル・バティスタ選手。
このまま残留するのか解雇になるのか今後の動向に注目しましょう。

 

 

文章・画像など無断転載・使用はご遠慮ください

テキストのコピーはできません。