【 プロ野球選手のセカンドキャリア 】退団後の進路希望と進路調査からみえてくる現実

簡単な自己紹介

JUNJUN
医療系国家資格取得16年目

◎ 野球を中心に活動
◎ 現在は「法律」を勉強中
◎ スカパー契約歴12年目突入

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どんなプロ野球選手もいつか引退する時が訪れます。
今回は引退後の異色なセカンドキャリアについて解説していきます。
※ グラフはNPB「セカンドキャリア」から集計

 

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また、使用している写真は著作者・肖像者に連絡をとり許可を頂いています。

 

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プロ野球引退後の進路希望

 

2011年以降のプロ野球引退後の進路希望についてのデータです。
分類が多いのでわかりにくいですが、伸びてる進路と落ちてる進路が存在します。

 

 

① 増加している進路希望は”会社経営者”

 

少しカテゴリーを分解して、伸びている進路希望をピックアップします。
野球関係以外で2018年あたりから増加しているのは「起業・開業」です。

反面、2018年に伸びた「一般企業の会社」は減少傾向にあります。
安定を求める今の時代を反映していましたが、少し変わってきたようです。

 

 

② 社会人野球希望が激減した2020年の調査

 

2020年は「社会人野球・クラブチーム」を希望する選手が激減したのが特徴です。
会社員希望と同様に、2017年から右肩上がりでしたが、極端な低下傾向を示しました。

 

 

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引退後を考えいていない選手が「45%」という現実

 

「引退後の進路」に関するアンケート結果は以下の通りです。
2020年には「考えていない」と回答したのが45%と半数近い数字となりました。

アンケート対象年齢が平均23歳前後と若いということもあります。
「自分はまだまだ解雇されない」と考えている選手が多いのも事実かも知れません。

[ 引退後の進路について ]

2019 2020 前年比
考えている 10.7% (23名) 6.4% (15名) -4.3%
なんとなく考えている 34.0% (73名) 35.6% (83名) +1.5%
考えていない 38.1% (82名) 45.1% (105名) +7%
回答無し 17.2% (37名) 12.9% (30名) -4.3%

 

① 「引退後は考えてないけど不安」という矛盾も

 

一方で、”引退後の生活に不安があるかと”いう質問に対して約50%が「不安」と答えています。
半数近くが「不安」と答える中、引退後のことを「考えている」のはわずか6.4.%しかいません。

現役選手にとって将来の不安は感じてはいるものの現実問題として捉えるのは難しいようです。
こうした問題に対しては、選手会などでさらにアプローチしていく必要があるのかも知れません。

[ 引退後の生活に不安があるか ]

2019 2020 前年比
不安がある 48.4% (104名) 49.8% (106名) +1.4%
不安はない 20.0% (43名) 22.3% (52名) +2.3%
どちらとも言えない 37.7% (66名) 27.9% (65名) -9.8%
回答無し 0.9% (2名) 0% (0名) -0.9%

 

② 引退後の1番の不安が「収入」から「進路」に変化

 

また、「引退後の不安」についての質問結果は以下の通りです。
2019年と2020年の比較では「1番の不安要素」に大きな変化がみられています。

2019年に最も多かった「収入」は激減し、2020年は「進路」が増加しています。
また、「やりがい」も減少したことから、”進路そのもの”に視点が変わっています。

[ 引退後に不安な要素 ]

2019 2020 前年比
収入(生活していけるのか?) 76.0% (79名) 11.2% (13名) -64.8%
進路(引退後、何をやっていけば良いか?) 73.1% (76名) 85.3% (99名) +12.2%
やりがい喪失 16.3% (17名) 4.3% (5名) -12.0%
世間体(親戚や友人などの反応) 1.9% (2名) 3.4% (4名) +1.5%
その他 0% (0名) 1.7% (2名) +1.7%
回答なし  2.9% (3名) 2.6% (3名) -0.3%

 

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近年は「高卒3年以内で自由契約」になる選手も増加

 

近年は高卒3年目までに自由契約になる選手もみられるようになりました
もちろんケガをした影響があったり、自由契約後に育成契約になった選手もいます。

以前のような「高卒は5年間は契約」という球界のセオリーは消えつつあります。
育成契約制度ができた影響もありますが、以前よりシビアな契約状況になってきています。

特にドラフト上位指名で入団した選手も区別なく契約解除されています。
以前のように「入団の条件として最低〇年間は契約」といった話も聞かなくなりました。

若い選手は「自由契約はまだ先」と考えがちですが実際はそうでもありません。
「プロは結果がすべて」なので年齢や年数だけで保証される甘い世界ではないです。

 

[ 高卒3年目以内に自由契約になった選手 ]

選手名 所属球団 ドラフト年度 在籍年数 進路
2018年退団 小澤怜史 ソフトバンク 2015年ドラフト2位 3年 引退
黒瀬健太 ソフトバンク 2015年ドラフト5位 3年 育成契約
茶谷健太 ソフトバンク 2015年ドラフト4位 3年 ロッテ育成契約
佐藤世那 オリックス 2015年ドラフト6位 3年 社会人野球
本田仁海 オリックス 2017年ドラフト4位 1年 育成契約
野元浩輝 楽天 2016年ドラフト7位 2年 育成契約
青木陸 カープ 2015年ドラフト7位 3年 引退
與那原大剛 巨人 2015年ドラフト3位 3年 育成契約
2019年退団 松尾大河 DeNA 2016年ドラフト3位 3年 独立リーグ
西巻賢二 楽天 2017年ドラフト6位 2年 ロッテ移籍
島孝明 ロッテ 2016年ドラフト3位 3年 引退
高山優希 日本ハム 2016年ドラフト5位 3年 育成契約
山崎颯一郎 オリックス 2016年ドラフト6位 3年 育成契約
岡崎大輔 オリックス 2016年ドラフト3位 3年 育成契約
長井良太 カープ 2016年ドラフト6位 3年 引退
2020年退団 吉住晴斗 ソフトバンク 2017年ドラフト1位 3年 育成契約
日暮矢麻斗 ソフトバンク 2017年ドラフト育成5位 3年
森遼大朗 ロッテ 2017年ドラフト育成2位 3年 育成契約
西浦颯大 オリックス 2017年ドラフト6位 3年 育成契約
直江大輔 巨人 2018年ドラフト3位 2年 育成契約
山下航汰 巨人 2018年ドラフト育成1位 2年 育成契約
山上信吾 巨人 2017年ドラフト育成2位 3年
荒井颯太 巨人 2017年ドラフト育成8位 3年
比嘉賢伸 巨人 2017年ドラフト育成1位 3年
折下光輝 巨人 2017年ドラフト育成7位 3年
竹内龍臣 中日 2019年ドラフト育成6位 1年 育成契約
垣越建伸 中日 2018年ドラフト5位 2年 育成契約

 

① 純粋な理由の自由契約ではない場合も

 

ただ、ここに関しては少し懸念していることがあります。
というのも、選手枠の調整や人的補償回避のためではと思うケースもあります。

一旦、契約解除を行い、育成契約することで上記の調整が可能になります。
不正行為ではなくルール上は問題ないのですが、それが理由なら複雑な心境です。

近年、育成契約が故障選手のプールする場所にもなっています。
本来の意味での育成契約を改めて見直す時期にきているのかも知れません。

 

② 久古健太郎氏が発信した「引退後に向けた意識づけ」

 

元ヤクルトスワローズの久古健太郎氏は以下のようにTweetしています。

 

引退後を考えていない選手が45.1%もいた反面、しっかりと考えている選手もいます。
近年、引退後の意識が高い選手とそうでない選手との差は大きくなっていく傾向です。

また、現役時代の後悔として鵜久森淳志氏は以下のようにコメントしています。

いろんな人と関わり、野球選手としてではなく、ひとりの人間として野球以外の場所で学びを深めること

NEW BALL 2021 ~先輩へのインタビュー~ / NPB

 

 

2010-2019年の進路調査

 

ここからはプロ野球引退後の進路調査について話を進めていきます。
2010年以降に退団した選手たちがどんな進路を選んだのかを紹介します。

※ 2020年退団選手の去就がまだ未定のためここからは2019年までのデータです。

① NPB関係は増加し、未定・不明が減少

 

2010年以降の退団後の進路調査を調べてみました。
特徴として近年ではNPB関係が増加し、未定・不明が減少しています。

ここで言う「NPB関係」とは以下の通りです。

  • 選手契約・育成契約
  • 監督及び指導者
  • 球団職員

NPB関係の内訳として、近年では球団職員になるケースが多えています
特に2015年以降は毎年30人以上が所属又は他球団の球団職員となっています。

そういった影響も含め、未定・不明の選手も減ったかも知れません。
同時に以前に比べて将来を見据えた選手も増えた影響もあるかも知れません。

 

 

② 野球関係以外では「企業就職」がもっとも多い

 

野球以外の進路を見ていくと「企業への就職」がほとんどを占めます。
当然ながら、第2の人生のスタートなのでどこかで一般社会を勉強するのは妥当。

2011年だけ大きく減少していますが、おそらく未定・不明が多いためです。
調査段階で正式に決定していなかったためで最終的にはもっと増えたと思います。

 

 

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③ 現役続行を選ぶ選手の人気は「社会人野球」

 

近年、海外のリーグを含め様々な形で現役続行を選ぶ選手もいます。
中でも近年は退団後の希望として社会人野球と答える選手が増えています。

また、海外に挑戦する選手もアジア圏よりも南米・欧州などに変化しています。
同時に独立リーグに進む選手も微増しており、NPB復帰を果たした選手もいます

 

 

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④ 引退後に「進学する」という選択

 

近年に変化が出てきたのが「進学」という選択肢
2018年からは國學院大學と選手会が提携し、進学サポートを行っています。
そうした影響もあり、若干名ですが進学する引退選手が継続的に出てきています。

大まかには「体育学部のある大学」や「医療系の専門学校」の進学になります。
指導者やトレーナーを目指す元選手も多いので、妥当な選択になりますね。

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⑤ アマチュア指導解禁で学生野球を指導する道も

 

2013年より学生野球指導回復制度が開始され、アマチュア選手の指導が可能となりました。
現在では1300名以上の認定者がおり、多くの元プロ野球選手が指導回復制度を受講しています。

しかし、高校野球を専任で指導する人は少ないのが現状です。
ただ、少しずつ監督に就任する数も増え、甲子園出場を果たすなど結果もみられ始めました。

アマチュア指導をする選択肢としてますます認定者の増加が予想されます。
近い将来に元プロ野球選手の監督同士が甲子園の決勝で対決といったこともあるかも知れません。

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⑥ 多種目競技に転向する選手たち

 

プロ野球を引退した選手の中には多種目競技に転向する選手もいます。
代表的な選手がジャンボ尾崎こと尾崎正司投手やジャイアント馬場こと馬場正平投手。

ともに30歳以上の日本人なら誰もが知る有名な人物。
元プロ野球選手であったことを知らなくても、名前を聞けば誰かはわかるでしょう。

他にも競輪選手を中心に、格闘家やプロボウラーやクリケット選手などがいます。
最も活躍する選手が多いのが競輪選手で、2000年代には多くの選手が転向しました。

2010年代に入ると、格闘技ブームも影響して格闘技転向が増加。
最近では新たな競技としてクリケットに転向する選手もみられ始めています。

プロ野球選手として活躍が難しかった選手たちにとって第2の競技人生。
競技を転向することで持って生まれ才能が開花する可能性もあるでしょう。

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年金制度は消えたが充実する転職サポート

 

以前はプロ野球にも年金制度が存在していました。
しかし、現在ではその制度も廃止されており、引退後の不安材料となっています。

反面、引退後の不安解消のために転職サポートは充実してきています。
問題視されることのある第2の人生をNPBでもバックアップ体制はできつつあります。

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中根佑二 (ヤクルト)
武内久士 (カープ)
今井金太 (DeNA)
日高亮 (ソフトバンク)
井川慶 (オリックス)
原大輝 (オリックス)

田原啓吾 (巨人)
高橋慎之介 (巨人)
中本勇 (ヤクルト)
渡辺雄貴 (DeNA)
川崎貴弘 (中日) 2018年に津市消防士 ()
山口嵩之 (西武)

中村亘佑 (カープ)
藤吉優 (中日・育成)
柿田裕太 (DeNA) (本人Twitterには秘密と記載)

戸田亮 (オリックス)
吉田雄人 (オリックス)
入野貴大 (楽天・育成)
出口匠 (楽天・育成)
青木陸 (カープ)
菊沢竜佑 (ヤクルト)
河野元基 (巨人)

井出亮太郎 (楽天)
山田大樹 (楽天)
野元浩輝 (楽天)
青山大紀 (オリックス)
大木貴将 (ロッテ)
青柳昴樹 (DeNA)
綾部翔 (DeNA)
山下亜文 (巨人・育成)
田島洸成 (巨人・育成)
長井良太 (カープ)

松田遼馬 (ソフトバンク)
清水陸哉 (ソフトバンク)
内竜也 (ロッテ)
鎌田光津希 (ロッテ)
野田昇吾 (西武)
永江恭平 (西武)
木村敏靖 (楽天)
東明大貴 (オリックス)
根本薫 (オリックス)
田原誠次 (巨人)
橋本篤郎 (巨人)
荒井颯太 (巨人)
比嘉賢伸 (巨人)
折下光輝 (巨人)
小山翔平 (巨人)
伊藤準規 (中日)
上田剛史 (ヤクルト)
田代将太郎 (ヤクルト)
小窪哲也 (カープ)

 

今回のまとめ

 

今回はプロ野球選手のセカンドキャリアについて話を進めてきました。
野球関連の仕事につく選手が多い中、最近では会社員が人気となっています。

プロ野球を辞めて新たな仕事に就くことの不安は多いかと思います。
特に全く野球とは関係のない世界に飛び込むには勇気も必要なのは想像できます。

ただ、今回ご紹介したようにOBたちが様々な職業に転職しています。
もちろん上手くいく選手もそうでない選手もいるのは仕方ないことかと思います。

とはいえ、野球界以外の多くの業界で働く人たちも転職したら同じです。
大変なこともたくさんあると思いますが、良いセカンドキャリアになることを願います。

 

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