エースと呼ばれる先発投手のイメージとして強いチームに投げ勝つイメージがあります。
今回はパ・リーグの各球団のエース級のデータを調べ球団別の勝利数について話を進めていきます。
パ・リーグ球団のエースの球団別勝利割合
一部の球団はエース級の2投手をピックアップしています。
ニール投手は楽天戦の勝利がないですが、それ以外は平均的に勝てています。
ここから上位チームに所属する左から3人の投手を外してみていきます。
上位チームからも勝てているのは辛島航投手と山本由伸投手の2人。
優勝争いをするためには上位に勝てる投手の存在は重要ですね。
逆に、山岡泰輔投手は上位チームから1勝もしていませんでした。
勝っているのは残りの楽天・日本ハム・ロッテの3球団のみ。
特に楽天からは2019年全勝利数の6割近い勝利をあげています。
上位チームに勝てず、1球団に依存した勝利数とも言えます。
図1 パ・リーグ対戦球団の勝利数割合
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パ・リーグ球団のエースの球団別敗戦割合
逆に上位チームに負けにくい投手は誰なのかが気になります。
種市篤暉投手と山岡泰輔投手は2球団から1敗もしていません。
逆に有原航平投手と山本由伸投手はソフトバンク戦の割合が高いです。
エース級で西武に負ける割合の多い投手は誰もいませんでした。
図2 パ・リーグ対戦球団の敗戦数割合

来日2年目でどれくらい2019年と同じような活躍できるのか興味ありますね。
山岡泰輔投手と山本由伸投手の西武・ソフトバンク戦成績
ここまでみると山岡泰輔投手は“勝てず負けない”、山本由伸投手は“勝てて負ける”。
そういった印象を持ってしまいがちかと思いますし、確かにそう見えてしまいます。
ただ、山本由伸投手は8勝6敗のうちの2敗なので数的にはさほど負けていません。
上記のグラフだと「全敗戦数の中での割合」なのでどうしても多く見えてしまいます。
逆にソフトバンクから3勝しているので、通算だと貯金1を作れてはいます。
- 西武戦 3試合 2勝0敗
- ソフトバンク戦 7試合 3勝2敗
山岡泰輔投手を見ていくと、ソフトバンク戦に1試合も登板していません。
意図的に回避したのかわかりませんが、少し違和感のある状況ではあります。
エース級でソフトバンクに勝てないと考えると、上位に入るのは厳しいですね。
- 西武戦 4試合 0勝0敗
- ソフトバンク戦 0試合 0勝0敗
こうしてみると山本由伸投手を上位球団に多く登板させていたのがわかります。
もちろん試合が中止したなどで対戦数が増えた影響もあったのかも知れません。
とはいえ、両投手の登板チームの偏りをみると意図的に配置していたように感じます。

オリックスファンの方はこの傾向をどのように感じているのでしょう。
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西武・ソフトバンクに打たれる山岡泰輔投手
では、山岡泰輔投手は上位球団に対する成績はどうなのか気になります。
さきほどの投手の西武戦とソフトバンク戦の2019年の防御率をグラフ化しました。
前述の通り、山岡投手はソフトバンク戦に登板していないのでデータがありません。
西武戦の防御率を見ると断トツで打ちこまれているのがよくわかるかと思います。
ここまで打たれるといくら打線が援護してもさすがに勝利を挙げるのは厳しいです。
逆に山本由伸投手は西武打線に対して完全に抑え込んでいます。
また、ソフトバンク打線に関しても2割ちょっととかなり抑えています。
山本投手は強力打線の2球団に対しても打たれない投球ができています。
図3 西武打線とソフトバンク打線の防御率
山岡泰輔投手の入団後のパ・リーグ球団の防御率
西武戦に関して1年目は抑えているものの2年目からかなり打ち込まれています。
ソフトバンク戦に関しては1年目・2年目ともに打ち込まれているのがわかります。
2019年の全勝利数の6割をあげた楽天は2年目から抑え、得意なのがわかります。
他球団の防御率が3点台後半~6点台であれば楽天に勝利数が偏るのも納得できます。
得意な楽天、得意ではない日本ハムとロッテ、苦手な西武、回避のソフトバンク。
2019年の防御率だけでみればそういった感じの振り分けになっています。
図4 山岡泰輔投手の入団後のパ・リーグ球団別の防御率
上位球団に打たれる原因はストレート?
グラフ化しませんでしたが以下のような傾向が見えてきます。
- 山岡泰輔投手のストレートは年々失点につながりやすくなっている
- 西武打線は3年連続でストレートの打撃成績が12球団トップ
- ソフトバンク打線は2017~2018年はストレートの打撃成績が12球団3位
ストレートが通用しにくくなっている山岡泰輔投手。
それに反してストレートにめっぽう強い西武打線とソフトバンク打線。
こういった背景があれば登板を回避させる可能性があるのもわかります。
前述のように西武打線に打ち込まれてしまうこともここからよくわかります。
ただ、ソフトバンクに関しては2019年は6位と成績を落としています。
そう考えると回避しなくても良かったのかも知れませんが、結果論ですね。
逆に山本由伸投手ストレートでしっかりと打ち取れています。
12球団トップクラスではありませんが、規定投球回達成者で5/15位と健闘。
そう考えると、西武戦とソフトバンク戦に登板させるのもよくわかります。
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「勝利数」をどう考えるかによって変わる
エース級の対戦相手の決定に関しては2つの考えができるかと思います。
- 優勝するためにエース級を上位球団に登板させる
- 確実に勝利数を稼ぐために相性の良い球団に登板させる
優勝するためには上位球団に勝たなければ正直むずかしいです。
そのためエース級をぶつけて勝ちにいくという考え方はシンプルです。
逆に後者のように勝てるところで勝ちにいくというのもよくわかります。
チーム勝利数は対戦相手は関係ないのでどこに勝っても同じという考え方。
いずれにしても理にはかなっているのでチームの考え方になると思います。
どう配置して勝利数を積み上げるていくのかは大事なチーム戦略です。
ただ、“エース像”としてみるならば前者であって欲しいと個人的には思います。
エースこそ強いチームに投げ勝つ姿をみたいと思うファンも多いはずですよね。

古いエース像かも知れませんが、そんな投手をエースと呼びたいです。
2019年の第2回プレミア12での登板成績
2019年のプレミア12での登板成績は以下となります。
▼ 山岡泰輔投手 [ 4試合 防御率 11.57 ]
- ベネズエラ戦 1回1/3 3安打 自責点 3
- 台湾戦 1回 1安打 自責点 0
- アメリカ戦 0回2/3 3安打 自責点 1
- 韓国戦 1回2/3 4安打 自責点 2
▼ 山本由伸投手 [ 5試合 防御率 1.80 ]
- プエルトリコ戦 1回 1安打 自責点 0
- 台湾戦 1回 2安打 自責点 1
- アメリカ戦 1回 2安打 自責点 0
- メキシコ戦 1回 0安打 自責点 0
- 韓国戦 1回 0安打 自責点 0
打たれた球種まで確認していませんが国際大会の結果にも差があります。
ストレートに強い外国人打者にとっては山岡泰輔投手は攻略しすいのかも知れません。
大会を通じて、現状では国際大会には少し厳しいのかなという印象は残りました。
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年間を通して投げ切る価値
ただ山岡泰輔投手は年間通して登板して26試合で170イニングを消化しました。
反対に山本由伸投手は途中で離脱したため20試合で143イニングに終わりました。
こういった面で考えると年間のイニング数を消化してくれる面では山岡投手に軍配。
山本投手が先発2年目に年間通して投げ切れるかどうかが興味があるところです。
- 山岡泰輔 26試合 13勝4敗 170イニング 防御率 3.71
- 山本由伸 20試合 8勝6敗 143イニング 防御率 1.95
ここまでわかったこと
ここまでわかったことをまとめます。
- 山岡泰輔投手は西武とソフトバンクから勝利数が0
- 山岡泰輔投手は全勝利数の6割を楽天からあげている
- 山本由伸投手は西武とソフトバンクから5勝
- 2019年は山岡泰輔投手はソフトバンク戦の登板が0
- 山岡泰輔投手は西武打線とソフトバンク打線でよく打たれる
- 西武打線とソフトバンク打線はストレートに強い
- 山岡泰輔投手のストレートは年々失点につながりやすい
- プレミア12では山本由伸投手の好投が目立った
- 年間を通して投げる価値として山岡泰輔投手は貢献
今回のまとめ
今回はパ・リーグ先発投手の球団別勝利数の話を中心に進めてきました。
特定の球団を得意にしている、逆に苦手にしているなど特徴が見えました。
山岡泰輔投手の内容が特徴的だったのでピックアップの対象に。
上位球団に対して得意でないことはデータからもよくわかりました。
また、勝利数が楽天に偏っているという特徴もみられました。
エース像でいえば上位球団に強くあって欲しい気持ちはあります。
そういう面ではオリックスでは山本由伸投手に軍配ありかなと思います。
ただ、イニング消化の面では山岡泰輔投手に軍配。
山本由伸投手の2年目がどうかでいろいろと決まってきそうです。
個人的には山本由伸投手が現段階ではエースかなとは思っています。
2020年も各球団のエースたちの仕上がりは気になります。
いずれの投手もケガなく1年間通して投げ切ることを期待しています。
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