今回は前回の投稿からさらにフカボリしていきたいと思います。
12球団の状況も見て、左投手の補強ポイントを改めて検討していきます。
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2018年に30イニング以上投げたセ・リーグ左投手
30イニング以上を投げたセ・リーグ球団の左投手を順にあげていきます。
先発 | リリーフ | |
---|---|---|
カープ | ||
ヤクルト | 石川雅規 | |
巨人 | 今村信貴、内海哲也、田口麗斗、吉川光夫 | |
DeNA | 東克樹、濱口遥大、石田健大、今永昇太 | 砂田毅樹 |
中日 | 小笠原慎之介、笠原祥太郎 | |
阪神 | 岩貞祐太、才木浩人 | 能見篤史、岩崎優 |
見てわかる通りであるが、カープに関しては1人もいません。
リーグ最多は横浜の5人で、次に巨人と阪神が4人と続きます。
規定投球回数到達者を先発で143回、救援で規定がないため便宜上30回とします。
クリアしているのは先発では東克樹投手、救援では砂田毅樹、能見篤史、岩崎優投手。
能見投手は、先発で14回1/3を投げているので、それを引くと41回2/3になります。
どこのチームも左投手の駒数に苦労しており、好成績を残すのも難しいです。
特にカープに関しては、外国人投手を除くと1人もいない深刻さが伺えます。
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① 各投手のドラフト指名時の所属
ここからは前述した投手のドラフト時の所属を見ていきます。
先発 | リリーフ | |
---|---|---|
カープ | ||
ヤクルト | 石川雅規 (大卒) | |
巨人 | 今村信貴 (高卒)、内海哲也 (社会人)、田口麗斗 (高卒)、吉川光夫 (高卒) | |
DeNA | 東克樹 (大卒)、濱口遥大 (大卒)、石田健大 (大卒)、今永昇太 (大卒) | 砂田毅樹 (高卒) |
中日 | 小笠原慎之介 (高卒)、笠原祥太郎 (大卒) | |
阪神 | 岩貞祐太 (大卒)、才木浩人 (高卒) | 能見篤史 (社会人)、岩崎優 (大卒) |
計16名のうち、大卒・社会人が10名、高卒が6名。
単純に比較すると、大卒・社会人の方が多い傾向にあります。
高卒で10勝以上した投手は田口麗斗投手と吉川光夫投手の2人。
吉川光夫投手は2012年にMVPを獲得し、田口麗斗投手は連続二桁勝利を挙げました。
その他の投手は先発として期待されて入団しましたが、好成績は残せていません。
大卒・社会人では以下の7投手と、10投手中7投手が達成しています。
石田健大投手も10勝には届いていないものの、2016年に9勝をマークしています。
また、岩崎優投手も2017~2018年と60試合以上投げ、10勝と同レベルの数字を残しています。
- 石川雅規
- 内海哲也
- 東克樹
- 濱口遥大
- 今永昇太
- 岩貞祐太
- 能見篤史
このように大卒・社会人で入団した左投手の方が成績を残しやすい傾向にあります。
これに関しては、前回のカープ左投手の記事で紹介したものと同様の傾向と言えます。
特にセ・リーグにおいては、大卒投手が活躍する傾向にあるようです。
また、その多くが先発投手としての活躍ということもデータからわかります。
2018年に30イニング以上投げたパ・リーグの左投手
30回以上という条件を満たした各球団の左投手を順にあげていきます。
パ・リーグ最多は楽天の4人で、次に西武の3人。
カープのようにひとりもいない球団はパ・リーグには無いようです。
同様に規定投球回数を先発で143回、救援で規定がないため便宜上30回します。
クリアしたのは先発では菊池雄星投手のただひとり。
リリーフでは野田昇吾、嘉弥真新也、公文克彦、松永昂大、松井裕樹、高梨雄平投手。
セ・リーグに比べて、リリーフ投手が多いのがパ・リーグの特徴です。
2019年から菊池雄星投手がMLBに移籍するため、先発がゼロになる可能性もあります。
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① 各投手のドラフト指名時の所属
ここからは各投手のドラフト時の所属を見ていきます。
先発 | リリーフ | |
---|---|---|
西武 | 菊池雄星 (高卒)、榎田大樹 (社会人) | 野田昇吾 (社会人) |
ソフトバンク | 嘉弥真新也 (社会人) | |
日本ハム | 加藤貴之 (社会人) | 公文克彦 (社会人) |
オリックス | 田嶋大樹 (社会人) | |
ロッテ | 松永昂大 (社会人) | |
楽天 | 塩見貴洋 (大卒)、辛島航 (高卒) | 松井裕樹 (高卒)、高梨雄平 (社会人) |
計12名のうち、大卒・社会人が9名、高卒が3名。
大卒・社会人の内訳をみると、大卒1名に比較して社会人8名とかなり多いです。
高卒で10勝以上した投手は菊池雄星投手の1人。
松井裕樹投手も楽天の抑えとして3年連続30セーブを記録しています。
大卒・社会人で10勝以上したのは榎田大樹の1人。
リリーフで複数年で活躍したのは野田昇吾、嘉弥真新也、公文克彦、松永昂大、高梨雄平投手の5人。
特にパ・リーグにおいては社会人投手が活躍する傾向にあるようです。
塩見貴洋投手を除く全員がリリーフ投手としての活躍ということもデータからわかる。
改めて、12球団でみていくと高卒の左投手は育ちにくい傾向にあるようです。
2000年以降で主力として活躍した「高卒の左投手」
少し時代をさかのぼって2000年以降の高卒の左投手でみていきます。
ここでは先発は10勝以上、救援は50試合登板、抑えは30セーブ以上とします。
先発 | リリーフ | |
---|---|---|
2003 | 成瀬善久 (横浜) | 249試合 96勝77敗 |
2005 | 村中恭平 (東海大甲府) | 199試合46勝55敗 |
2006 | 吉川光夫 (広陵) | 196試合55勝66敗3セーブ |
2009 | 菊池雄星 (花巻東) | 158試合73勝46敗1セーブ |
2013 | 田口麗斗 (広島新庄) | 81試合21勝27敗 |
2013 | 松井裕樹 (桐光学院) | 253試合16勝25敗101セーブ |
2013 | 砂田毅樹 (明桜) | 163試合6勝11敗 |
本当に活躍したと言える高卒左腕の先発投手は成瀬善久投手と菊池雄星投手。
抑え投手でみるとさらに少なくなり、松井裕樹投手のわずかひとり。
- 成瀬善久 2007年に最優秀防御率、最高勝率を獲得
- 菊池雄星 2017年に最多勝、最優秀防御率を獲得
- 松井裕樹 2015年に最年少30セーブ、2018年に最年少100セーブを記録
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① プロ入り後に消えゆく「速球派の大型高卒左腕」
毎年、多くの左投手が入団するにも変わらず、活躍するのはかなり厳しいのが現状。
特に「速球派の大型高卒左腕」と騒がれた投手で活躍した投手は菊池雄星投手くらい。
ただ、菊池雄星投手でもシーズン10勝までに6年もかかっています。
多くの「速球派の大型高卒左腕」投手は制球難やケガにより活躍できず終わりました。
過去にも「150キロ左腕」「高速サウスポー」と騒がれた投手がいます。
いずれもプロ入り後に目立った活躍をすることなく、姿を消していきました。
高井雄平投手に関しては、「雄平」として外野手に転向して活躍しています。
本当の意味で一流投手として活躍できたのは石井一久投手くらいかも知れません。
左投手の補強ポイントは「大卒・社会人」
左投手に関しては、高卒よりも大卒・社会人の方が成功しやすい傾向です。
特に近年ではDeNAの大卒で入団した先発左腕たちの活躍が目立ちます。
東克樹、濱口遥大、今永昇太、石田健大投手は新人から主力として活躍。
左投手補強という方針としては12球団で最も成功しています。
ちなみに石田健大投手は地元出身選手で、新井貴浩選手の後輩に当たります。
カープも上位指名候補として挙がりましたが、最終的に有原航平投手を選択。
ちなみにその年のドラフト1位は野間峻祥選手、2位が薮田和樹投手。
1位で有原航平投手を抽選で外し、石田健大投手を指名できましたが野間峻祥を指名。
緒方孝市監督の意向もあり、石田健大投手の地元カープ入団は実現しませんでした。
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ここまでわかったこと
ここまでわかったことをまとめます。
- 12球団を見ても活躍する左投手は少ない
- 高卒よりも大卒・社会人の方が活躍する傾向
- セ・リーグでは大卒が先発として活躍する傾向
- パ・リーグでは社会人が救援として活躍する傾向
- 過去の「速球派大型高卒左腕」も活躍は難しかった
- DeNAの成功例を補強の参考にしたい
今回のまとめ
成績を振り返って左投手のドラフト補強ポイントを検討しました。
高卒投手は活躍しにくく、大卒・社会人の方が活躍する傾向にあります。
大型左腕と期待された高卒投手の多くは早い段階で姿を消しています。
また、どの球団も高卒左腕の育成を得意していいないこともわかります。
左投手のドラフト戦略は大卒・社会人の指名の方が有利です。
ロスを少なくし、確実に補強していくにはそういった戦略も必要です。
とはいえ、夢があるのも高卒の大型左腕たちでもあります。
各球団の育成能力が向上し、多くの左投手が活躍する日を期待しています。
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